研究課題/領域番号 |
12F02349
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
君塚 信夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授
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研究分担者 |
MAHATO Prasenjit 九州大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 自己組織化 / 配位高分子 / エネルギー移動 / ホスト・ゲスト / 亜鉛錯体 / ドナー・アクセプター / 電子移動 / 超分子 |
研究概要 |
本研究では、金属錯体の自己組織化をベースとした超分子ナノ界面を構築し、ドナー・アクセプター間での高効率なエネルギー移動を達成することを目的とした。 その戦略として、ドナー部位、もしくはアクセプター部位にカルボン酸などの配位部位を修飾することで架橋配位子を合成し、その架橋配位子と金属イオンとの錯形成によりナノ細孔を有する骨格構造を形成し、そのナノ空間内にアクセプター分子もしくはドナー分子を取り込ませることでドナー・アクセプター間の高効率なエネルギー移動を試みている。ドナー部位を含む架橋配位子を合成し、ジルコニウムイオンと錯形成を行うことで、3次元結晶性ネットワーク構造の構築に成功した。 さらにそのネットワーク構造が形成するナノ細孔にアクセプター分子としてアントラセンなどを昇華法により導入することにも成功し、そのエネルギー移動過程を分光学的方法により検討した。さらにアクセプター部位を含む架橋配位子を設計・合成し、亜鉛イオンと錯形成を行うことで、3次元結晶性ネットワーク構造を得た。発光スペクトルの検討により得られた3次元結晶性ネットワークは高い蛍光性を示すことが分かり、得られたエネルギーを発光へと変換する優れたアクセプターとして働くと期待される。 今後さらに構造の異なるネットワークを形成し、詳細にエネルギー移動過程を検討することで、エネルギーを伝達しうる分子システムの構築に繋がるため、非常に重要な課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目的とするドナーおよびアクセプターを有する3次元ネットワーク構造の形成に成功した。さらにそのネットワーク中へのアクセプターおよびドナー分子の取り込みにも成功しており、当初の計画以上の進展である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに多様なドナーおよびアクセプターを有する3次元ネットワーク構造を形成し、また種々のアクセブター分子およびドナー分子をネットワーク中に取り込ませ、得られる複合体の分光学的評価を系統的に行っていく。得られた知見を基に高効率エネルギー移動を可能にするナノ界面を構築する新機軸を打ち出す。
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