研究課題/領域番号 |
12F02353
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西澤 松彦 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授
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研究分担者 |
KARIKKINETH Bijoy Chandapillai 東北大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 細胞アッセイ / 筋細胞 / 電気刺激 |
研究概要 |
当研究室では、フィブリンゲルを培養基板とする筋細胞培養法を確立しており、申請者は、この培養筋細胞の更なる筋力向上を当該年度の目的とした。目的達成に向け以下の実験を行い、成果を得た。 (1)ゲル転写培養細胞の筋力に対するフィブリン組成の影響評価 濃度を変えて作製したフィブリン基板上での筋細胞の収縮運動変位量を計測した結果、変位量が増加する最適濃度が存在することが示された。 (2)免疫染色によるゲル培養筋細胞の筋分化マーカータンパク質の発現量評価 (1)の原因を調べるため、最適フィブリンゲルでの培養筋細胞と、シャーレを用いた従来の2次元培養筋細胞とで、筋分化マーカーの発現量を比較した。結果、フィブリン転写培養筋細胞でαサルコメリックアクチニン、ミオシン重鎖の発現向上を確認し、本ゲル転写培養の筋力向上効果をタンパク質レベルで示すことができた。 (3)電気刺激による筋細胞の運動制御 電気パルス刺激条件(電圧、パルス幅、振幅)を変えた筋細胞の運動制御を実施した。生体筋同様の強縮運動、痙攣様の単縮運動を誘導することができ、フィブリン転写筋細胞の運動を人為的に制御可能であることが示された。本結果は、例えば生体の健康維持に対する筋細胞の運動効果のバイオアッセイに重要な技術となり得る。 以上、当該年度ではフィブリンゲルに着目した筋力向上策を実施し、その効果を得ることができた。本研究の目的である「血管網を備えた収縮性の筋組織モデル構築」に向けた基盤技術が確立できたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、培養筋細胞の筋力向上に向け、細胞の収縮運動量、筋力関連タンパク質発現に対するフィブリン組成の影響を調べ、わずか半年で運動、筋力向上に必要なゲル組成を明らかにした。また人為的な細胞運動制御も達成し、バイオアッセイ系として必須の技術を揃えつつある。そのため本研究の進捗はおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
筋力向上に対するフィプリンゲル組成の影響をより定量的かつ詳細に調べるため,ウエスタンブロットによる分化マーカーの定量、細胞形態変化の観察等を実施し、筋力向上メカニズムの解明を目指す。 また、血管内皮細胞(血管様構造を形成する培養細胞)の筋細胞培養フィブリンへの追加転写法を新規に確立し、血管網を備えた培養筋細胞の構築を目指す。
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