研究概要 |
当研究室では、フィブリンゲルを培養基板とする骨格筋細胞培養法を確立している。本研究では、培養シャーレを用いた従来の2次元培養法と比較し、フィブリン培養系における骨格筋の分化促進、筋力向上効果をタンパク質発現レベルで調査することを当該年度の目的とした。目標達成に向けて以下の実験を行い、成果を得た。 1, フィブリンゲル培養骨格筋細胞からのタンパク質抽出法の確立 ウエスタンブロットによる筋分化マーカータンパク質(αサルコメリックアクチニン、ミオシン重鎖など)の発現量評価を実施したが、定量性が低かった。原因は、タンパク質であるフィブリンの抽出サンプルへのコンタミによるバックグラウンドシグナルの増加であった。本年度は、細胞破砕、精製工程を独自に最適化することでフィブリン由来のタンパク質の混在を減らすことに成功した。 2, 2.5次元培養系の確立 昨年度までの骨格筋は、平板ゲル表面に2次元培養されたものであった。その細胞表面をさらにゲル薄膜で覆うことで2.5次元様培養系の構築を本年度実施し、更なる分化促進、筋力向上を目指した。被覆ゲルの薄層化は、(1)で記載したように、後のウエスタンブロットへのコンタミの影響を低減するためである。フィブリン薄膜をあらかじめシャーレで作製し、それを筋細胞培養ゲル表面に転写(接着)するというゲル特性を生かした手法で本培養系を確立した。今後、性, の手法で本培養系の効果を評価する。
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