研究課題/領域番号 |
12F02361
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 成彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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研究分担者 |
GADELMOULA A.M. 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 軸 / 軸受 / 無潤滑 / 振動 / 弁 / フォイル / スラスト / 動設計 |
研究概要 |
省エネルギー化をかなえるポテンシャルを有する動圧型気体フォイル軸受は、ターボ機械の小型化とオイルフリー(無潤滑油化)技術を実現するための鍵を握る要素である。近年、ラジアル軸受については、研究が盛んに行われ、動圧型気体フォイル軸受の設計と開発を支援できる性能予測ツールがフェン・金子によって提案されているが、スラスト軸受については検討されておらず、信頼できる設計ツールは提案されていない。そこで、本研究の目的は、金子研究室から提案しているラジアルフォイル軸受の性能予測のための数値解析手法を発展させて、スラストフォイル軸受の設計と開発を支援できる性能予測ツールを構築することである。なお、予測結果との比較を行うために、スラストフォイル軸受試験装置を試作も行うことが目的である。 外国人特別研究員のGADELMOULA氏は2012年11月から2013年4月までの間に、フォイル軸受の軸受容量を高精度で算定可能な新しい数学モデルの提案を行っている。この研究成果は、2013年8月に九州産業大学で開催される日本機械学会機械力学・計測制御部門大会で発表予定で既に採択されている。論文の表題は「新しいモデルを用いたスラスト軸受用可撓バンプフォイルの空力弾性挙動」で、本研究では、既往のモデルの持つ欠点を指摘した後、バンプ端部の回転を考慮し欠点を克服した新しいモデルを提案し、フォイルスラスト軸受の圧力分布と空力弾性挙動の結果を示している。その結果、スラストフォイル軸受に用いられるバンプフォイルの可撓構造を精度良くモデル化することによってフォイルの空力弾性挙動の把握が可能となった。 理論的研究以外では、実験環境の整備に努め、実験装置の補修、データ取得を含めた計測装置の整備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外国人特別研究員として11月に来日したGADELMOULA氏は、研究室内で取り組んできた本テーマに関係した論文および国内外の関連研究論文を精査することから始め、従来のモデルよりも高い精度で軸受性能を評価することの可能な精緻なモデルを提案し、既往の実験結果と比較することによって有効性を検証している。また、今後予定している実験に備えて、必要な機器やセンサーの手配を終えており、実験環境の整備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、いよいよマイクロターボ機械用動圧型気体スラストフォイル軸受を開発する段階に入る。目下、設計検討中であり、材料、加工法の選択について相談している。スラスト軸受以外の構成要素は、既に準備が整っているため、スラストフォイル軸受が完成すれば試運転が可能となる。データを取得後、提案しているモデルにもとづく予測結果との比較を行うのが今後の展開である。
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