研究概要 |
グラフェンは完全な2次元物質であり面内でボンディングが閉じているため,面に垂直な方向にはダングリングボンドが存在しない.そのため,ゲート絶縁膜形成のために使用されることが多い原子層堆積法では,核生成サイトが存在せず,均一膜の形成が困難であることが報告されている.そこで,絶縁膜の形成手法の検討を行い,high-k絶縁膜であるY203堆積において,Yを酸素分圧10^-1Paの雰囲気で蒸着することにより堆積したY203は良好な絶縁性を示すことを示してきた.しかしながら,酸素と非常に反応性が高いため,Yの蒸発レートの制御は非常に困難であり,絶縁膜の膜厚の均一性の改善が困難であるという問題点がある. 上記の背景のもと、今回,グラフェン上の絶縁膜形成に原子層堆積装置を使用することを再検討した.ダングリングボンドの無い表面に,バッファー層として非常に薄いY203を堆積し,その上に原子層堆積法でY203を堆積することに依り均一な膜形成を目的として実験を行っている.今年度は,原子層堆積装置を導入直後であるため,堆積条件の確立を目指し,原子層堆積装置によるSi上のAl203堆積の検討を行った.最も一般的なプリカーサーであるTMAとH2Oを用いて堆積を行った.サイクル数と膜厚に明確な線形性を確認した.Si上に堆積した~20nmのAl203の容量-電圧曲線を測定した結果,周波数依存性の無いデータを得ることができた.今後,グラフェン上の絶縁膜堆積へとすすめていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原子層堆積装置の導入後の立ち上げに少し時間がかかったため,グラフェンの研究に関しては現時点ではあまり進んでいないというのが正直なところである.結果として研究発表などはまだ無いが,それは本人の研究能力というよりも,絶縁膜形成はFETにおいてもっとも重要な部分であるという認識のもとですすめているためであり,今後の進展には期待している.
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