研究課題
本研究は、生きた細胞のイメージング法として注目されている蛍光イメージングの新しい手法を提案し、プロトタイプ試作によりその有効性を明らかにするもので、従来の光電子増倍管を用いた大がかりなシステムではなく、成功すれば半導体チップ上で直接試料の蛍光相関分光や蛍光寿命イメージングが行え、将来は内視鏡やカテーテルに本機能を組み込んでin vivoでのイメージングが可能になる等画期的な成果となる。その実現に向け、平成26年度には試作されたマルチタップ光電荷変調素子を用いて、蛍光基質を組み込んだ細胞サンプル及び、その予備実験として蛍光アクリル板に対する蛍光寿命の計測を試みた。試作したイメージセンサの評価を行った結果、素子の応答特性による寿命(Intrinsic response)が約200psであり、短い寿命を用いた測定対象でも小さい誤差で計測することが可能になった。更には素子の応答特性をデコンボリューションし、素子応答寿命の影響を除いて寿命を計測することで、いずれも寿命の測定誤差は400ps以下にできた。またDAPI(核)や量子ドットを用いたCHO細胞に対する測定を行い、蛍光寿命のカラーイメージング化に成功した。続いて、開発したセンサのマルチタップを用いた評価を行った。寿命計測の時、マルチタップを利用することで、従来の計測方式(シングルの時間窓を用いて計測する方法)より時間窓のスキャニングが必要なくなったため、測定時間をはるかに短縮することができ、リアルタイム蛍光イメージングの実現可能性を確認した。最後に、本研究を通して、電荷変調素子構造として2点及び4点まで動作確認ができており、その原理を用いた半導体蛍光寿命イメージング素子による新機能内視鏡や、マルチタップ化に基づく蛍光相関分光の多点同時計測素子の実現の基礎が築かれたことは、学術的にも、医療・健康産業の発展においても大きな意義がある。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sensor Letters
巻: Vol. 13, No. 8 ページ: 641-645
IEEE Transaction on Electron Devices
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10.1109/TED.2014.2318522