研究課題/領域番号 |
12F02371
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
灘岡 和夫 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 教授
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研究分担者 |
SHARMA S. 東京工業大学, 大学院情報理工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | ブルーカーボン / 生態学 / 水文学 / 地球化学 / マングローブ / 海草藻場 |
研究概要 |
調査・分析対象地域として、沖縄・石垣島の吹通川河口周辺域、フィリピン・パナイ島のバナテ湾およびミンダナオ島のラギンディンガン、インドネシア・スラウェシ島のラワ・アオパ国立公園を選定し、現地調査を実施してきた。また比較対象地域として、沖縄本島の漫湖干潟および億首川のマングローブでも調査を実施した。今年度石垣島では、2013年4月、8月に、フィリピンでは2013年6月、9月に、インドネシアでは2014年2月に現地調査を実施し、生態学的・水文学的・地球化学的データの収集を実施した。各サイトで、マングローブ林内に長期観測プロットを設け、樹高、直径、樹冠面積等を計測し、地上部および地下部の炭素貯蔵量を推定するとともに、土壌やリター、水の採取も行い有機物含量や炭素量を分析している。現在生態学的データの解析を進めると共に、水中の栄養塩や有機炭素量、炭酸系の分析および堆積物中の有機炭素・窒素含量の分析に着手してきた。 統合型モデリングに向けての基本モジュール開発検討に当たっては、当研究室でこれまで主要調査対象としてきていないマングローブや干潟、海草藻場といったサンゴ群集以外の要素にも焦点を当てる形でモデル体系を発展させる試みを始めている。現在までに得られたデータを統合し、ブルーカーボンモデルのプロトタイプを作成し、現地観測結果を基に精度を検証してきた。 吹通川河口周辺域で得られたデータの解析結果については、2013年6月に福岡県でおこなわれた第23回日本熱帯生態学会年次大会および2013年10月にベトナム・ホーチミン市でおこなわれたInternational Workshop on Mangroves (Regional networking conceming the evolution of mangroves with climate change and demographic increase)において、フィリピンで得られた結果については、12月に東京都でおこなわれた国際ワークショップMonitoring of Forest Ecosystems : Where Do We Stand? において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィリピンやインドネシアの研究共同機関とMoUを締結し、それに基づき順調にデータの取得および解析を進めてきている。また成果も国内外の学会にて報告をしてきており、その内容を更に進展させ国際誌に投稿すべくまとめて来ている。故におおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、6,7月に石垣島・西表島および鹿児島県種子島のマングローブ林、海草藻場を対象に追加調査する。吹通川河口域およびフィリピンの2サイトで得られた生態学的データの解析結果は、特にマングローブ樹の形態およびバイオマス量に焦点を当て、国際誌2報にまとめるべく準備中である。また水質および堆積物の分析結果は、2014年6月14~15日に宇都宮で開催予定の24_^<th>Annual Meeting, Japan Socicty of Tropical Ecologyおよび、2014年8月2日~3日にマレーシア・クアラルンプールで開催予定のInternational Conference on Advances-In Applied Science and Environmental Engineeringにおいて報告する。また堆積物中の有機炭素、窒素の安定同位体比分析、Pb-210や14Cといった年代測定を外注にて実施する予定である。以上の成果を基に、並行して開発中のブルーカーボン動態モデルを検証した後、今後の地球環境変動下での将来像の予測をおこなう。
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