研究課題/領域番号 |
12F02382
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奥山 喜久夫 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授
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研究分担者 |
RATNA Balgis 広島大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | ナノ粒子 / 噴霧乾燥法 / 噴霧熱分解法 / ナノ粒子構造体 / カーボン / 燃料電池 / ポーラス構造体 / 触媒特性 |
研究概要 |
本研究では、噴霧乾燥法による粒子合成技術を活用し、粒子のポア径だけでなく、表面特性、形状、穴の種類(2種類のボアサイズを持つ構造体)が厳密に制御されたカーボン系ナノ粒子構造体材料の合成と触媒性能評価、構造や界面制御と理論数値解析、大量合成(スケールアップ)プロセス開発、を検討することを目的に研究を実施している。 本年度は、まず、実験の効率化を図るため、新しく噴霧熱分解装置の作製を実施した。作成した噴霧熱分解装置では、カーボンナノ粒子凝集体の空隙に白金ナノ粒子が埋め込まれた構造体材料を合成し、さらに内部まで燃料ガスが導入されるように、ポーラス構造体とした。白金担持量、ポーラス径、構造体の粒子径は制御し、これらのパラメータが触媒の性能に及ぼす影響を調査し、最適な構造が明らかになった。 カーボンナノ粒子構造体の合成では、テンプレート材料であるポリマー粒子を自ら合成することで、ゼータ電位の制御を行い、これによってポーラスから中空構造を持つカーボンナノ粒子構造体の合成が可能となった。さらに、噴霧された原料の液滴径、粘度、表面張力を測定し、得られたナノ粒子構造体の粒子径との相関性を明らかにした。 そして、燃料電池の電極触媒の評価として、アノードでの水素の酸化反応をサイクリックボルタンメトリーを用いて、電気化学表面積(ECSA)を求め、またカソード側の酸素の還元反応は、回転電極装置を用いて質量活性(Mass Activity)、比活性(SA)を求めることによって合成したカーボンナノ粒子構造体の触媒材料の性能と耐久性を分析した。その結果、カーボン粒子の出発ゾル中にアンモニアを添加することで、カーボンの表面を一部正の電荷を帯びている窒素に置換し、電子の吸着力を高め、触媒特性が向上させられることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、1)噴霧熱分解装置の製作、2)カーボンナノ粒子構造体の合成3)白金を担持した触媒合成4)燃料電池の電極触媒としての性能評価について順調に実験が進行している。白金担持量、構造体の表面性状を制御し、これらのパラメータが触媒の性能に及ぼす影響を調査し、それぞれ良好な結果が得られている。そのためおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、噴霧熱分解法を用いてフェノールからのカーボン材料の合成と多孔質または中空構造を持つ高比表面積カーボン材料の作製を実施し、燃料電池およびキャパシタとしての性能の評価を実施する。フェノールからのカーボンはミクロボアを持つカーボン材料の合成が予想されるが、この細孔に白金が担持するかどうかが問題になる。この問題に対しては、テンプレート材料を用いてメソ・マクロボアを持つ粒子を合成することで対応する予定である。 また、カーボンへ反応率や空隙率をエアロゾル計測技術を用いた密度測定によって行う。これらの触媒材料により、より省資源かつ省エネルギーで高効率小型燃料・蓄電池や高性能のスーパーキャパシターを合成することが期待できる。
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