研究課題/領域番号 |
12F02385
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
秋山 友宏 北海道大学, 大学院工学研究院, 教授
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研究分担者 |
ZHU Chunyu 北海道大学, 大学院工学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | リチウムイオン電池 / 水素化マグネシウム / ナノファイバー / 負極材 / 正極材 |
研究概要 |
Liイオン電池のエネルギー密度の向上には、負極活物質の容量密度の向上が不可欠である。そして、従来のグラファイト負極の5倍以上の容量もあるMgH_2はLiイオン電池の負極材料として極めて有望である。一方、MgH_2をLiイオン電池負極材料に適用する際の問題は、充放電に伴う体積膨張・収縮や低い電子伝導性で、このため良好な繰り返し特性が得られていない。そこで本研究の目的は、上記問題点を解決するため、1Dナノ構造体であるMgH_2ナノファイバーをLiイオンニ次電池の負極材料に適用する。MgH_2ナノファイバーはコンバージョン反応に伴う体積収縮・膨張が生じても応力を緩和し、粉化を抑制しながら、伸長方向に対し十分な電子伝導性を実現でき、従来法で合成したバルクMgH_2より良好な繰り返し特性を得ることが期待できる。 前述した目的を達成するために、25年度は以下の研究活動を実施した。 : (1)本研究室に既存する装置を使用してVS(蒸気から固体結晶を作るvapor-solid法)手法によりMgH_2ナノファイバーを合成した。その結果、MgH_2結晶の形状・純度を制御するために、合成温度・圧力が製品に与える影響が明らかにし、MgH_2ファイバーの合成条件を最適化した。現在、一バッチの実験では200mgのMgH_2ファイバーの合成に成功している。これらの成果はLiイオン電池以外にも適用可能な学術的成果であり、水素関連の国際会議で発表し注目を集めている。 (2)電極、電池特性評価のための電池評価装置を購入した。合成したMgH_2を用いて、導電カーボンやバインダーと混合し、圧延法により、MgH_2電極の作製を試みた。この手順がMgH_2電極開発では極めて重要であり、その手法を現在最先端紛体工学の理論に基づき検討を試みている。 (3)最終目的であるMgH_2負極材を用いたリチウムイオン電池フルセルを作成するため、LiMn_2O_4等の正極材の合成を試みた。その正極材の特性を評価し、得られた結果を取りまとめ学会や専門雑誌で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各項目共に当初計画した事項は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度で作成したMgH_2電極の電気特性を評価し、そのコンバージョン反応メカニズムを解析する。 さらに、比較のため、同じコンバージョン反応である遷移金属酸化物負極材も合成し、その電気特性を評価する。 最後は、各実験結果を整理し、論文にまとめ、国際雑誌で発表する。
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