研究課題
2012年9月に、メコンデルタの中部に位置するCan Gio Mangrove Biosphere Reserve において、また、12月にはメコンデルタ最南端のCa Mau において調査を行った。また、2013年の10月には再度Can Gio Mangrove Biosphere Reserve において調査を行っている。2014年3月には、3地点目となるメコンデルタ最北端で調査を行った。各調査地点において、9つの直径7mの調査点を設け、マングローブ林本体の地上部炭素量、林床表面上の炭素量、地下2mの炭素貯蔵量を推定した。また、ベルジャー法により温暖化効果ガス(二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素)放出量を推定した。生物群集へのマングローブ生態系の生産物の炭素物質量の寄与を炭素・窒素安定同位体比分析による食物網解析を通して評価するために、マングローブ林および周辺生息場所において、ベントス類(軟体動物類・甲殻類・魚類)を採集した。・調査結果マングローブ地上部炭素量としては、83.4±9.4から111.4±22.7 Mg/ha、地下炭素量としては、632.9±28.6から704.6±25.2 Mg/haの値を得ており、マングローブ林全体として、平均772.0±60.2 Mg/haの値となっている。これらの値は、マングローブ林の林辺部から中央部にかけて増加傾向が見られた。炭素源のミキシングモデル解析より、マングローブ林床部のベントス類は40%程度がマングローブ生産物由来であり、縁辺部で20%程度の貢献度であった。多くの魚類は40%以上の寄与度をマングローブ生産物が影響を持っている。以上より、ベトナムのメコンデルタに発達するマングローブ生態系において、マングローブ生産物が周辺の生物群集に大きな影響を与えていること、また、大きな炭素貯留量を持っていることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Hydrobiologia
巻: 733 ページ: 71-83
Catena
巻: 121 ページ: 119-126