研究概要 |
BAZAR博士は、受入研究室である神戸大学農学研究科生体計測工学研究室が保有するホルスタイン牛の生乳に関する近赤外スペクトルデータベースを用いて、乳牛の疾病の有無及び生理的状態変化の分析を行った。また、設置型分光器NIRS 6500 (Foss NIR Systems社)、XDS (Foss NIR Systems社)及びポータブル型分光器FQA-NIR GUN (Fantec社)を用いて実験を行い、それぞれの分光器の操作方法を身に付けた。加えて、性ホルモン検出を行うため、iMarkマイクロプレートリーダー(Bio-Rad Laboratories社)の調整を行った。さらに、研究代表者が提唱するアクアフォトミクス(近赤外分光法を用いて水の吸収スペクトルから生体情報を解析する手法[1-3])に関する解析トレーニングを行った。その成果として、生物計測工学研究室が保有するデータベースを用い、異なるチャイニーズ卵巣細胞の生体システムの違いを近赤外領域における水分子吸収スペクトルから説明することで、同手法を用いた細胞の識別を行った。 また、兵庫県立農林水産技術総合センター・淡路農業技術センターへ訪問し、研究について打ち合わせを行った。当初ホルスタイン牛の尿および生乳を対象としていたが、畜産部主任研究員の生田博士・山口博士との議論により、性ホルモンの含有量が高くサンプル採取が効率的な搾乳器により得られる合乳を研究対象とすることに決定した。採取スケジュールは分娩より21日後を発情予定とし、人工授精を行う日に加えて前後3旧間を含む合計7日間の合乳を採取・冷蔵保存して生体計測工学研究室に運搬することを決定した。淡路農業技術センターに飼養される40頭の経産牛の内、発情期の2~3頭から採取した合乳サンプルを常時生体計測工学研究室に運搬し、設置型近赤外分光器による生乳スペクトルの測定、およびマイクロプレートリーダーによる性ホルモンの検出を行うことに決定した。 [1]Tsenkova, R. : Journal of Near Infrared Spectroscopy 17(6) : 303-314, 2009. [2]Kinoshita, K., et a1. : Scientific Reports 2 : 856, 1-9, DOI : 10.1038/srepOO856, 2012. [3}Gowen, A. A., et al. : Analytica Chimica Acta 759 : 8-20, 2013
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