研究課題/領域番号 |
12F02413
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授
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研究分担者 |
BEZAWORK AfeworkBogale 宇都宮大学, 農学部, 外国人特別研究員
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キーワード | カラス / 行動 / 学習 / 記憶 / 農業被害対策 / 電気刺激 / 色彩感覚 / 侵害刺激 |
研究概要 |
本研究は、農作物へのカラスの食害を防ぐのが最終目標であるが、そのためにカラスの視覚、学習・記憶能力などカラスが持っている固有の能力を明らかにしながら、具体的な農業被害対策に取り組み研究デザインを作る必要がある。 本年度は、担当者が11月末の来日であったので、まずは、情報収集と基礎実験を行うこととした。その一つは、カラスが形の概念が分かるかどうかについて試験を行った。すなわち、四角形、三角形、五角などの形の識別が可能かどうかについて行った。その結果、カラス四角や五角など形の概念を持っていることが分かった。これについては國際誌Animal cognition Joumai (Springer)にすでに論文を投稿している。また、数量の概念があるかについても並行して実験を行った。同じ餌を提示する場合、カラスは餌の多い方をまず選ぶ。このことは、数量の概念があることを示す。さらには、カラス自身が、位置、時間、および何という思考を有するかについても取り組みだした。 これらの取り組みは、本研究申請時の研究計画に記載した学習や記憶などを基礎にし、侵害刺激と関係づけた実験の構築では、重要な情報と基礎データに位置づけられる。なお、電気刺激など侵害刺激については、現在実験施設の設計と組み立てを行っている。まず、止まり木を6か所用意している。それについて、赤、黄、緑、青などそれぞれの色を塗る。電源は家畜放牧管理をする電気柵セッを購入した。現在、赤に通電させる予定で制作中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
11月末からの取り組みとしては、基礎実験ともなるカラスの学習成立の確認もでき、その成果を国際的専門誌に投稿が終わっていること、また実践として必要な実験計画と物質的準備が大分進んでいること、これらを総合的に判断して評価(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
申請者は、カラスの学習と記憶について、いくつかの色彩・形状で学習性や記憶能力について調べる。したがって、本年度の9月ころより、幾つかの色彩(光波長)を使い、その中の特定の色や形を標識として、或る色あるいは形の標識では電気ショックなどの罰があり、他の色や形では餌を与えられるというオペラント法による択一実験を行い学習の成立を確認する。
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