研究実績の概要 |
神経系細胞マーカーとしてチロシンハイドロキシラーゼ(TH)、肝細胞マーカーとしてアルブミン(ALB)遺伝子のプロモーターにEGFPを連結させたプラスミドをヒトES細胞に遺伝子導入し、ヒト多能性幹細胞試験の構築に向けた作業の一部を実施した。 まずヒトのTHとALBプロモーター配列をロングPCRで増幅し、EGFPをもつプラスミドの上流にクローニング、DNAを適宜切り出し、Neomycin耐性遺伝子をもつプラスミドpIRESNeoベクターに連結させてコンストラクトを作成した。作成したMouse ALB-EGFP, Human ALB-EGFP, Rat TH-EGFP, Human TH-EGFPをLipofectamine 2000によるリポフェクションでヒトレチノブラストーマ細胞(SK-N-SH)、ヒト肝がん細胞(HepG2)、ラットPC12細胞、マウス肝がん細胞(Hepa1c1c7)へ遺伝子導入し、プロモーター活性の種特異性を検討した。 上記コンストラクトをLipofectamine LTXでヒトES細胞(KhES1)へ遺伝子導入しG418によるセレクションを実施、生存した細胞はラットTH遺伝子を連結したRat-TH-EGFP(KhES1-rTHEGFP)のみであった。この細胞をクローン化し、神経系細胞分化培養に持ち込んだところEGFP陽性の突起を持った細胞が少数であるが発生した。 樹立したヒトES細胞株でダイオキシン(TCDD)の曝露実験を実施し、TH陽性細胞の出現率を指標に神経系発達毒性を検討した。TH陽性細胞の出現率の増加傾向を認めた。発生数が少なかったため定量的解析は出来なかった。一方、平行して実施した野生型ヒトES細胞の分化実験でも、TCDDによるTH陽性細胞の有意な増加が認められた。
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