研究課題/領域番号 |
12F02417
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金井 求 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授
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研究分担者 |
KANYIVAKYALO Stephen 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | C-H活性化 / 1,3-ポリオール / 触媒 / 配向基 |
研究概要 |
1,3-ポリオール類は、医薬分子やポリケチド生物活性天然物に幅広く存在するキラルビルディングブロックであり、本プロジェクトは触媒開発を基盤としてこの新規合成法を確立する。単純なアルコール分子を出発点として、水酸基に対して3位に位置するsp3 C-H結合を酸化してC-0結合に変換できれば、この触媒的C-H酸化反応を繰り返すことで1,3-ポリオールが迅速に合成できるものと考えた。本研究が達成されれば、理想的かつ究極的な1,3-ポリオール合成法になりうる。実用的な触媒的不斉1,3-ポリオール合成法の開発により、医薬機能最適化のための合成法基盤の確立をおこない、分子供給の立場から医薬創出を促進する。 予備的な検討から水酸基を配向基として用いるのは困難であると考え、本年度はアミドを配向基とした検討をおこなっている。様々な金属触媒を用いてsp3 C-H結合の酸素化、ホウ素化、ケイ素化の検討をおこなったところ、低収率ながらホウ素化反応が位置選択的に進行することを見出した。ホウ素化体を酸化条件に付したところ、良好な収率でアルコール体が得られた。従って単純なアミド化合物を出発原料として、ヒドロキシアミドを簡便に合成できる方法を開発したことになる。また同様の反応条件を用いると、比較的高収率でsp2炭素-水素結合のホウ素化やケイ素化が進行することがわかった。この知見をもとに、現在詳細に反応の最適化をおこなっている段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収率は満足できないまでも、最も困難と考えられるsp3炭素-水素結合の触媒的活性化が実現できる条件が見つかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
収率や基質一般性の拡張を目指して、まず基質の配向基の検討をおこなう。またもう一つの方法としては、ホウ素化試薬の検討を行う。特にホウ素化試薬の性質は、パラジウム中間体への酸化的付加や金属交換のステップに影響があるものと考えられ、詳細な検討をおこなっていく予定である。
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