研究課題
・今回の研究は、糖尿病における「脳心腎・糖代謝連関」の成因メカニズムを解明することを目的としており、肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病などの生活習慣病などで生じる脳卒中、心筋梗塞、慢性腎臓病などの各種臓器合併症に対する根本的治療の開発につなげることを最終目標としている。特に我々は、腎交感神経の臓器障害と糖代謝に対する役割に着目して研究を進めている。・そのため、実験は肥満からメタボリックシンドロームを生じて2型糖尿病を発症するOLETFラットを用いておこなった。OLETFラットは幼少期に腎交感神経を外科的に切除して、メタボリックシンドロームを生じる18週齢まで、あるいは糖尿病を発症する50週齢まで飼育され、それぞれ糖代謝の変化を観察した。次いで、腎内アンジオテンシノーゲンの遺伝子発現と蛋白発現を測定した。・その結果、OLETFラットに腎交感神経切除をおこなうと、メタボリックシンドローム・糖尿病の両発症時期において、全身のカテコラミン低下による骨格筋への糖の取り込み改善をともなって、インスリン抵抗性が改善されることが明らかとなった。さらに興味深いことに、近位尿細管のSGLT-2発現低下による尿糖が増加することが明らかとなった。そこで、このSGLT-2の選択的阻害薬を投与する実験を追加実施しており、最終年度までに検討を終了する。・今年度までの研究結果の一部は学術集会にて発表され、欧文学術に掲載された。尚、平成25年度の研究経費は、すべて動物(マウス・ラット)購入費と、サンプリングなどの際に必要なプラスチック容器の購入費として使用した(消耗品として使用)。
2: おおむね順調に進展している
腎交感神経切除をおこなう実験を予定通りおこなっており、新しい知見を得ることにも成功している。また、追加実験もすでに実施開始しており、最終年度までに解析終了予定である。また、研究結果の一部は学術集会にて発表され、欧文学術に掲載されている。
来年度以降も引き続きOLETFラットを使用した長期実験を継続していく。尚、申請時は腎内レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系をターゲットとした病態メカニズムの解明を考えていたが、本年度の実験結果より、SGLT-2の役割にも着目して、SGLT-2の選択的阻害薬を投与する追加実験もすでに実施開始しており、最終年度までに解析終了予定である。
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PLoS ONE.
巻: 8(12) ページ: e82082
10.1371/journa1.pone.0082082,eCollection2013.