研究課題
本研究は、一般認知機能gを制御する遺伝子と遺伝子ネットワークのエピジェネティックなメカニズムを解明することを目的に行っている。これまでに、41匹の近交系マウスの行動解析および網羅的な遺伝子発現解析やネットワーク解析より、一般認知機能gを制御すると考えられる遺伝子ネットワークを同定した。さらに、それらの遺伝子と遺伝子ネットワークのエピジェネティックな発現メカニズムを解明するために、次世代シーケンサーを使ったMethylation sequencingでマウスの脳全体のDNAメチル化の検討を行った。現在、メチル化DNA領域のシーケンス解析を行って、認知機能の高いマウスと低いマウスそれぞれに特異的なメチル化DNA領域を同定し、さらにそのメチル化パターンの違いによる遺伝子発現の差が一般認知機能gにどのような影響を与えるのかを検討している。一方、一般認知機能gを制御するとして同定した遺伝子が、認知機能に異常を示す疾患の病態に関係しているかどうかを検討するために、その中から一般認知機能gと関連の強いトップ100遺伝子を選んだ。蛋白質間相互作用データベース (PINA PPI network) に基づいて、トップ100遺伝子と既知の認知機能関連遺伝子、または認知機能に異常を示す疾患(精神遅滞、自閉症、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症、レット症候群、統合失調症)の関連候補遺伝子との、蛋白質間相互作用を介したつながりをEnrichment analysis (Nature 506:376-81) によって網羅的に検討した。その結果、トップ100遺伝子とそれらに関連することが知られている蛋白質には、既知の認知機能関連遺伝子、精神遅滞、自閉症、パーキンソン病とアルツハイマー型認知症の関連候補遺伝子が有意に多く含まれていることがわかった。Enrichment analysisにより、一般認知機能gと上記疾患との共通候補遺伝子および経路が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep
巻: 5 ページ: 8316
10.1038/srep08316
Human Genome Variation
巻: 2 ページ: 15022
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http://www.med.kobe-u.ac.jp/clgene/