研究課題/領域番号 |
12F02425
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
富澤 一仁 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授
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研究分担者 |
XIE Pei-Yu 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 外国人特別研究員
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キーワード | 糖尿病 / 黄斑症 / tRNA修飾 / 網膜 |
研究概要 |
現在、2型糖尿病はアジア圏で爆発的に増加しており、それに伴いアジア人種の糖尿病黄斑症は増加している。また元来アジア人種は糖尿病性黄斑を発症しやすいことが知られていたが、その分子機構は未だ不明である。本研究では、我々がこれまでに作製したアジア人種型2型糖尿病モデルマウスを用いて、糖尿病黄斑症の分子機構を明らかにし、同疾患の治療薬の候補となる化合物、分子の同定を行う。特にぶどう糖毒性により網膜色素上皮細胞が変性、細胞死を起こす分子機構を明らかにすることを目的として、研究を実施する。 今年度は、上記目標を達成するために、アジア人種型糖尿病黄斑症モデル動物の作製を行った。具体的には、我々がすでに作製しているCdkal1欠損マウスに高脂肪食を60日間常食させ、糖尿病を惹起させた。その後、空腹時血糖、糖負荷試験、さらにぶどう糖応答性血中インスリン濃度を測定し、2型糖尿病を発症していることを確認した。高脂肪食負荷により2型糖尿病を発症したCdkal1欠損マウスおよびコントロールの野生型マウスの網膜を検眼鏡的にドルーゼン形成が認められるか検討した。糖尿病黄斑症の特徴である眼底にドルーゼン形成が認められた。一方、コントロールの野生型マウスではドルーゼン形成が認められなかった。さらにこれらマウスから網膜を摘出し、組織切片を作製した。H.E.染色を行い、糖尿病黄斑症の特徴である脈絡膜新生血管形成、網膜色素上皮細胞間の接着構造障害が認められるか検討した。すると、糖尿病を惹起させたCdkal1欠損マウス網膜において、脈絡膜に新生血管の形成、および網膜色素上皮細胞間に離間している部位が認められた。以上のことから、高脂肪食を負荷したCdka11欠損マウスは、アジア人種型糖尿病黄斑症モデル動物として有用であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた研究をすべて実施することができた。そしてこれまで存在しなかったアジア人種型糖尿病黄斑症モデル動物の作製に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していたとおりの研究を実施する。具体的には、平成24年度に作製したアジア人種型糖尿病黄斑症モデル動物を用いて、同マウス網膜色素上皮におけるtRNA修飾と小胞体ストレスについて、コントロールマウスと比較検討する。tRNA修飾については、我々が開発したtRNA直接逆転写PCR定量法で、また小胞体ストレスについては、小胞体ストレスマーカー遺伝子の発現について定量PCR法にて比較検討する。
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