研究概要 |
1.NASHモデルの検証:高脂肪負荷によるNAFLDからNASH発症におけるミトコンドリアダイナミクスの役割を明らかにした。 (1)肝中性脂肪量増加、炎症性マーカー(F4/80,MCP-1)発現亢進、肝細胞のアポトーシス(TUNEL)さらにネクローシスの増加、肝繊維化(Picrosirius Red Stain)の増加を確認した。電顕でミトコンドリアの形態異常(膨化)を確認した。 (2)遺伝子発現解析:マイクロアレイ法により遺伝子発現を解析した。脂質合成・分解に関与する遺伝子群の発現量に著変は認めなかったが、小胞体ストレスマーカーであるP3,ATF4が50-100倍増加を認めた。 2.個体レベルでの糖・脂質代謝解析:臓器間代謝ネットワークにおける肝臓ミトコンドリアダイナミクスの役割が示唆された。 (1)高脂肪食負荷Drp1LiKOマウスの脂肪組織、筋肉、肝臓におけるインスリンシグナルを解析した。肝門脈内ヘインスリン5単位を注入し、2分後に各組織を回収し、IRS2、AKT、リン酸化AKTの発現をwestern blot法を用いて解析した。肝臓でのAKTリン酸化が低下する一方、筋肉でのAKTリン酸化が亢進していた。肝臓でのミトコンドリアダイナミクスの低下が臓器間ネットワークを介して全身のインスリン感受性を変化させていることを明らかにした。 3.肝ミトコンドリアダイナミクスを標的とした創薬研究:siRNA,dnDrp1による肝臓でのDrp1のノックダウン、機能阻害を試みた。(2)Drp1に対する2種類のsiRNAを合成し、RSMENDに搭載し、野生型マウスの尾静脈より投与。1,3,7日後の肝臓におけるDrp1の発現をwestern blot法を用いて確認した。3日目でDrp1の発現が40%に低下、7日目には発現が回復していた。
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