研究概要 |
新規なアルカリイオン電池を提案するため、種々の酸化物を中心に電極材料を探索している。本研究開始前のスクリーニングで選択したA^+2M^<2+>O_2およびA^+_3M^<2+>O_<2.5>(A:Li, Na, K;M:Mn, Fe, Co)系はトンネル構造を有しており、正極材料として有望であると考えている。福岡で開催された第53回電池討論会バルセロナで開催されたInternational Battery Association meeting 2013において国内外の最新の研究動向を調査したところ、上記の化合物に関する先行研究は存在しない事が確認できた。その一方で、鉄オリビン(LiFePO_4)を端緒としたポリアニオン系の化合物に関する研究が、ケイ酸塩などへとそのすそ野を広げつつある。そこで、A^+_2M^<2+>O_2およびA^+_3M^<2+>O_<2.5>系に加え、本研究においても新規なポリアニオン系材料の創成も視野に入れる事とした。本年度においては、A^+_2M^<2+>O_2およびA^+_3M^<2+>O_<2.5>系の合成条件の検討を進めているものの、短い期間であったため残念ながら的確な合成条件を得るに至っていない。ポリアニオン系では硫酸塩や亜硫酸塩についての検討を行ったところ、電極材料としての有効性は確認できなかったものの3種のMn系化合物Mn_2(OH)_2SO_3、Mn_2F(OH)SO_3、Mn_5(OH)_4(H_2O)_2[SO_3]_2[SO_4]を見出し、その合成と結晶構造についてDalton Transactionsへ投稿し受理された。掲載は、次年度になる予定である。特に、Mn_5(OH)_4(H_2O)_2[SO_3]_2[SO_4]は無機亜硫酸硫酸塩として初めての報告例であり、新しい物質群開発へのきっかけになる事を期待している。
|