研究概要 |
新規な正極材料として、A^+_2M^<2+>O_2およびA^+_3M^<2+>O_<2.5>(A : Li, Na, K ; M : Mn, Fe, Co)およびオキシフッ化物、ポリアニオン系複合酸化物の検討を進めた。A^+_2M^<2+>O_2およびA^+_3M^<2+>+O_<2.5>については、遷移金属イオンの価数が2価であり、その比較的低い価数を維持する合成プロセスが重要である。そこで、酢酸塩等の出発原料を用い、水熱合成や封入法による合成を試みた。平成25年度末時点で、目標とする組成の化合物の創生には至らないものの、M(OH)F(M : Mn, Fe, Co)系化合物の合成に成功しその結晶構造と磁気特性について報告した。さらに、HをLiで置換えたLi含有化合物の可能性についても検討を進めた。ポリアニオン系については、新規な亜硫酸硫酸塩であるMn_6(OH)_4(H_2O)_2[SO_3]_2[SO_<-4>]を含んだ3つの相の水熱合成について報告た。さらに、高容量型の正極材料として期待されるNa_2MPO_4F(Mn, Fe, Co, Ni)を含む一連のオキシフッ化リン酸塩の合成と結晶構造について、新規な知見を加えReviewを行った。これらの成果は、まだ未開拓な電極材料の存在について重要な示唆を与えるものであり、さらなる展開が期待される。一方で、代表的な正極材料であるLicoO_2について、結晶学的見地から解析を行い、今まで不明確であった充放電に伴う結晶構造の相転移について統一的な解釈を行った。これにより、層状岩塩型と呼ばれる一群の正極材料の充放電機構を解釈するうえで、重要な知見を提供したことになる。2013年12月にボストンで開催された材料科学会(2013MRS Fall Meeting)において、オキシフッ化リン酸塩の合成と結晶構造と電気化学特性について成果発信を行った。
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今後の研究の推進方策 |
新規な正極材料として提案していたA_+^2M^<2+>O_2およびA^+_3M^<2+>O_<2.5>(A : Li, Na, K ; M : Mn, Fe, CO)の創出に今後も注力するとともに、これのみに捕らわれずポリアニオン系材料などに広めた研究の視野を維持していきたい。特に最終年度では、封入法による合成も確立しており、多様な合成プロセスを用いた材料の創出を図る予定である。
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