研究概要 |
本研究では、RNAと蛋白質ナノチューブの複合体を構築し、RNAの生体内デリバリー法を確立し、新規RNA干渉技術として利用することを目指す。本年度はまず蛋白質ナノチューブの構築法を検討した。400nmのボアサイズを有するTrack etchedポリカーボネート膜を鋳型として用いて、蛋白質チューブを作成した。鋳型にポリアルギニン(MW70,000)をコートし、続いてポリグルタミン酸(MW70,000以上)をコートする。これを4回繰り返すことで、蛋白質ナノチューブを成長させることができる。続いて、鋳型をジメチルホルムアミドに溶かすことで、ポリカーボネート膜を除去して、蛋白質ナノチューブを遊離させる。得られたナノチューブを走査型電子顕微鏡で解析した。その結果、その直径は400nmであった。内径は200-250nmぐらいであった。長さは6-7μmであった。続いて、フルオレセインイソシアネートで処理することで、蛋白質ナノチューブを蛍光標識した。この蛍光性ナノチューブを培養細胞上に振りかけ、蛍光顕微鏡で解析した。その結果、蛋白質ナノチューブは、細胞と相互作用していることが示唆された。また、興味深いことに、ナノチューブは細胞膜上に垂直に立っていることが示唆された。さらに、細胞膜非透過性のpropidium iodideを添加したところ、細胞内部に拡散した。このことは、ナノチューブの内部を通過して物質が移動したことを意味する。
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