研究課題/領域番号 |
12F02508
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
伊藤 嘉浩 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 主任研究員
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研究分担者 |
ナイル バイジュ 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2012 – 2014-03-31
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キーワード | ナノチューブ / 交互積層法 / ポリペプチド / 直孔性膜 / 細胞内導入 / 細胞膜透過性 / ヨウ化プロピジウム / ドラッグ・デリバリー |
研究概要 |
新しいナノ構造物を創成し、薬剤を効率的に細胞内に送達する独自の手法開発を展開することを目指して研究を行った。ナノチューブのような高いアスペクト比をもつナノ構造物はナノテクノロジーを用いる医療の分野で重要な材料となっている。カーボンナノチューブはその一つの例であるが、毒性の面で問題があった。 そこで、本研究では、自己集合体形成と生物模倣技術を用いて有機高分子を素材とするナノチューブの創成を検討した。ここでは鋳型として直孔性膜を選んだ。この膜表面上にポリL-アルギニンとポリL-グルタミン酸をレイヤーバイレイヤーで積層化した。各々1mg/mLの水溶液を準備し、膜を交互にその水溶液に浸すことで調製した。最後に余分のポリペプチドを洗い落とした後、真空乾燥した。直孔性膜をジメチルホルムアミドに溶解して除去するとカチオン性とアニオン性のポリペプチドが交互に層状にならんだナノチューブができたことを電子顕微鏡で確認した。 このように調製したポリペプチド・ナノチューブをヒト細胞に作用させ、ヨウ化プロピジウムのような細胞膜不透過性の薬剤を加えると、薬剤の細胞内導入が促進されることを共焦点レーザー顕微鏡で確認することができた。これは、ナノチューブが細胞膜に突き刺さり、薬剤透過を促進するためではないかと考察した。 ポリペプチドの混合比を変えることでナノチューブの電荷を制御できるため、今後は、チューブサイズや電荷を変えて、どのような薬剤(低分子、高分子)が導入可能かを検討する。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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