研究課題/領域番号 |
12F02714
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山中 弘 筑波大学, 人文社会系, 教授
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研究分担者 |
DELAKORDA KAWASHIMA Tinka 筑波大学, 人文社会系, 外国人特別研究員
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キーワード | 聖地 / ツーリズム / 宗教社会学 / 観光人類学 / 世界遺産 / 長崎 / 民衆宗教性 / 消費 |
研究概要 |
本研究の目的は、現代における聖地または巡礼地における消費と信仰との相互関係を通じて民衆宗教性の特徴を明らかにすることである。このため研究の焦点を3つに絞り、前年度は「現代日本における民衆宗教性にもとづく行為の事例を収集する」ことを目標とした。平成25年度は「東欧の民衆宗教性との比較を試み、両地域の民衆宗教性の類似性または差異を明らかする」ことを目指した。長崎のキリスト教遺産の世界遺産化に関する調査により、ヨーロッパの事例との比較研究に用いられる成果を得られたので、比較的な視点から考察を進めた。 これまでの成果を発表する機会として、研究代表者らが主体となって5月に国内外の研究者による研究会を開催した。7月にはDelakorda Kawashimaが単独で長崎県平戸市での追加調査を行なった。特に世界遺産登録に関して、カクレキリシタン側からの視点から聖地の持つ意味の変化を読み取ろうと試みた。今回は観光協会、教育委員会、市役所、地元住民から聞き取りをおこなうことができた。今年度は人々のカクレキリシタン信仰を支えてきた物質文化や景観にも注意を払い、より複合的に考察するよう務めた。近年整備された「平戸巡礼」という巡礼路の中にカクレキリシタンが聖地として認識してきた場所も含まれており、そ礼らの神聖な場所が今後どのように管理されて行くのかについて観察するための予備的な調査といえる。この調査の成果をもとに、9月に行なわれた日本宗教学会で口頭発表を行なった。また、山中も2月に平戸におけるシンポジウムで発表の機会を得た。以上のように、調査成果をもとに比較的な視点から考察を深め、積極的に発表を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた実地調査をおこなうことができ、また調査対象地において今後の研究のための協力関係を築くことができた。これらの調査から得られたデータを分析するために、文献資料、方法論の構築も同時に進めてきたので、当初の計画に沿って順調に進展しているといえる。また、次年度(平成26年度)における成果の発表のために、学会への参加計画、口頭発表の準備、論文作成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も国内での調査を継続しておこない、対象地は引き続き長崎のキリスト教遺産に関する調査を予定している。昨年度の世界遺産への登録はなされなかったものの、観光の面で人気がますます高まっており、これが聖地の形成にどのように影響するか考察したいと考えている。 これまでの成果および今年度の調査に基づき、学会などでの成果発表を積極的に行う予定である。平成26年6月にハンガリーで開催される第6回Expert Religious Tourism and Pilgrimage学会、8月にスロベニアで開催される第14回EAJS大会へすでに申請し、発表が受理されている。国内では、5月に国際研究会を主催する予定である。国内外の学術雑誌への投稿も随時行うこととする。
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