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2014 年度 実績報告書

日本近世における秘密口伝の形成とその思想-天台宗と曹洞宗の交渉を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 12F02731
研究機関早稲田大学

研究代表者

大久保 良峻  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30213664)

研究分担者 LICHA Stephan  早稲田大学, 文学学術院, 外国人特別研究員
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード口伝法門 / 曹洞宗 / 天台宗 / 鏡 / 顕教灌頂 / 受戒 / 切紙
研究実績の概要

本研究の目的は曹洞宗の口伝である切紙と天台宗の口伝法門の関係を明らかにすることであり、その目的を完遂するために天台宗から曹洞宗への伝え方とその内容に焦点を絞った。研究は三つの例に基づいてその過程を検討した。その三つの例は象徴としての鏡、戒律の言説、そして「顕密禅一致」という思想である。
まず、鏡については、曹洞宗の伝法式では鏡を二面使用する。それが日本禅宗の発展であるが、その源流は中古天台における顕教灌頂である。それを明らかにするために、資料調査を行って、中古天台口伝法門の伝授と関係がある資料を調べた。特に恵心流の伝法には鏡を二面使用することが明確になった。ある恵心流の資料の中でその鏡を壁に掛けるという指示があり、曹洞宗の資料の中に同じ指示が見えるので、結果として、曹洞宗伝法儀式は鏡と使い方が天台宗から導入された、と考えられる。
次に、戒律の言説については、曹洞宗伝法儀式というものは基本的に伝戒そのものであったが、授けた戒は日本天台宗に伝えられている菩薩戒である。口伝法門、特に恵心流と戒家の場合は受戒そのものが成仏とされて来た。曹洞宗の伝法式は同じ考え方に基づいたものであったので、天台宗の影響が強かったと考えられる。萬仭道坦(1698-1775)の戒思想にもその影響を確認でき、口伝法門資料の言葉をそのまま引用することさえ見られる。曹洞宗は禅戒一如思想を基本的な教学と位置づけるので、本研究は日本禅宗の現状をも理解する上での手掛かりとなる。
最後に、「顕密禅一致」という概念は先行研究にも初期日本禅宗の特徴として認められるが、江戸時代曹洞宗に復興された教説であることを本研究では強調している。不染道人(不詳)の著作とされる『宗門秘密』という資料を例として上げ、その復興の社会的・政治的な背景を明らかにできた。
総合的結果として、曹洞宗が天台宗から大きな影響を受けたことを明かした。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 『天台一宗超過達磨章』に見られる禅宗批判2015

    • 著者名/発表者名
      Licha Stephan
    • 雑誌名

      印度学仏教学研究

      巻: 63(2) ページ: 93-98

    • 査読あり
  • [学会発表] 『天台一宗超過達磨章』に見られる禅宗批判2014

    • 著者名/発表者名
      Licha Stephan
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会
    • 発表場所
      武蔵野大学
    • 年月日
      2014-08-31

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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