研究課題/領域番号 |
12F02741
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
梨井 康 (独)国立成育医療研究センター, (独)国立成育医療研究センター・RI管理室, 室長
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研究分担者 |
趙 明一 (独)国立成育医療研究センター, RT管理室, 外国人特別研究員
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キーワード | 移植・再生医療 / 幹細胞 / 細胞・組織 / 免疫寛容 |
研究概要 |
期間中主に下記の二つのテーマに絞って研究を行った : 1. マウスiPS細胞から制御性DCへの分化誘導においては、iPS細胞から制御性DC (iPS-DCreg)への分化誘導およびその機能解析を行った。iPS-DCreg細胞の誘導は、IL-10、TGF-βの添加によって検討した。iPS-DCregでは、骨髄由来制御性DC (BM-DCreg)とほぼ同様で、Ia、CD80、CD86、CD40等表面分子の発現は顕著に減弱した。また、iPS-DCregは、BM-DCregと同様アロ刺激によるin vitroのT細胞増殖の抑制機能がiPS-DCregの用量に比例した。一方、iPS細胞からMDSCへの分化誘導においては、iPS-MDSCの抗原提示能および抑制機能について、未熟iPS-DCを追加して、詳細に比較検討した。BM-MDSC、未熟iPS-DCより、アロ刺激によるCD4、CD8T細胞増殖の抑制機能が顕著であり、iPS-MDSCの用量に比例していた。2. 新規免疫抑制剤として、5-アミノレブリン酸(5-ALA)のヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1)発現増強効果について検討した。マウス細胞株RAW264において5-ALAとFe^<2+>を作用させることで細胞内ヘム量の上昇が確認でき、Bach1を標的とした免疫沈降により得られたサンプル中にもヘムが確認されたことから5-ALAの添加によってもBach1ヘム複合体の形成が起き、Bach1分解によるHO-1誘導の促進が起きていることが示唆された、同時に、5-ALAとFe^<2+>はHO-1転写因子Nrf2の核への移行を誘導した。これらの結果から5-ALAとFe^<2+>はRAW264においてヘムへの代謝を促進することでBach1の分解を誘導し、伺時にNrf2の活性化をもたらす2つの経路によってHO-1を誘導していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度において、主にマウスiPS細胞から制御性DC、MDSCへの分化誘導および新規免疫抑制剤として、5-アミノレブリン酸(5-ALA)のヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1)発現増強効果について検討した。結果として、iPS由来の制御性DC、MDSCの分化誘導ができ、細胞の形態、細胞分子の発現および機能等は、骨髄由来細胞の比較検討で、ほぼ同様であることを明らかにした。一方、新規免疫抑制剤として、5-アミノレブリン酸(5-ALA)のヘムオキシゲナーゼ-1 (HO-1)発現増強効果について検討し、IUW264においてヘムへの代謝を促進することでBach1の分解を誘導し、同時にNrf2の活性化をもたらす2つの経路によってHO-1を誘導していることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
マウスips細胞から制御性DC、MDSCへの分化誘導方法の確立およびin vivoでの検討するための大量生産方法を開発することを重点に置き、マウス心臓移植、GvHDモデルを用いた上記細胞の免疫抑制機能を検証して行きたい。また、5-ALAの免疫抑制剤としての機序をHO-1の発現増強の結果を生かして、ヘムの代謝産物である一酸化炭素(CO)、ビリベルジン、Fe^<2+>等の炎症・免疫反応の抑制効果について検討を進めたい。 臓器保存の実験については、時間の関係で、今年度は余り進展がなかったが、来年度は時間的を有効に配分し、新規保存法、保存液の開発とその機序の解明でマウスモデルを用い、進めて行きたい。
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