研究課題
期間中全体の研究内容を主に下記二つつのテーマに絞って研究を行った:1.ALA/SFCの投与には虚血再還流障害によるマウスの生存率を著しく改善し、その効果はALA/SFCの濃度依存的であった。生存率の改善と同様に、腎障害の指標である血清クレアチニンおよび血中尿素窒素のALA/SFCの濃度依存的な改善が確認された。腎組織の病理学的検討によりALA/SFCが虚血再還流障害による腎組織障害)および脂質過酸化マーカーである血清中のチオバルビツール酸反応性物質の産生を有意に抑制する事が認められた。ALA/SFCの投与は虚血再還流障害による腎臓のTUNEL陽性細胞死およびF4/80陽性マクロファージの浸潤を有意に抑制した。また、ALA/SFCは虚血再還流障害時のHO-1発現を増強させた。この様に、我々の研究は投与されたALAが生体内にてHO-1を介してCOを産生する事により腎臓の虚血再還流障害を抑制する事を明らかにした。2.ラット小腸虚血再灌流障害モデルにおける水素保存液腸管内投与の効果:本研究は水素の持つ抗酸化作用に注目し、水素含有保存液のラット腸管内投与による虚血再灌流障害の有効性を検討した。腸間膜動静脈を90分間クランプし、再灌流直前に腸管内投与を行った。保存液注入の有無によりA群(注入なし)、B群(生食)、C群(水素保存液)に分類した。再灌流60分後に腸管組織を採取し、病理組織、炎症性サイトカイン、生存を検討した。病理組織(Park/Chiu分類)においてA群B群ではgrade2-4に対し、C群では全例grade2と良好であった。炎症性サイトカインでは、C群でTNF-α、IL-6、iNOSは有意に抑制された(p<0.05)。48時間生存率は、A群(25%)、B群(58.3%)、C群(66.7%)であり、A群とC群では有意差を認めた。以上の結果から、ラット小腸虚血再灌流モデルにおいて、水素含有保存液の腸管内投与の効果が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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