研究課題/領域番号 |
12F02755
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
小林 孝嘉 電気通信大学, 先端超高速レーザー研究センター, 特任教授
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研究分担者 |
JAROTA Arkadiusz 電気通信大学, 先端超高速レーザー研究センター, 外国人特別研究員
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キーワード | 超高速分光 / プロトン移動 / 過渡吸収スペクトル / 分子振動 / ラマン散乱 / インドール / ポンプ-プローブ法 / 重水素 |
研究概要 |
昨年度は、予定がなかった耐震工事や新規導入したレーザー装置の不調のために、実験計画が予定通りに進まなかった。工事に関わる引越し等の作業の後、レーザーを購入した会社の技術者の助けを借りて、レーザーの修理および調整等を行った。購入したレーザー自身に設計上の問題が有り、本格的な修理は、今年度の4月に持越されることになった。そのため、昨年度の計画を少し後ろ倒しして進めざるを得なかった。従って本年度は、DNAモデル分子である7-アザインドール二量体(7AI)とピラゾロ[3,4-b]キノリン(PQ)を対象として過渡吸収測定を行う。従来の過渡吸収・時間分解蛍光測定法の時間分解能は数百fs程度であり、しかも観測波長は単1波長、又は2,3波長であるため、百数十fs、さらにはそれ以下の超高速で起こるESDPTの全容を明らかにする事は不可能である。そこで本研究では、光源としてサブ5fsの超広帯域・超短光パルス、検出には128chロックイン増幅器を用いてESDPTの多重波長・高時間分解測定を行う。最初はこの高度な技術に関する技術の習得を行う。その後実験を行う。以下の手順で測定して得られたデータの解析を進める。(1)過渡吸収スペクトルに見られる振動を様々な波長でフーリエ変換し、分子振動周波数の波長依存性から電子励起・基底状態と分子振動との関係を明らかにする。その際、ラマン散乱による測定データと比較し、実時間領域の振動がどの分子振動に対応するのか検証する。(2)過渡吸収スペクトル波形の時間変化から電子状態ダイナミクスを明らかにする。(3)多波長でのスペクトログラム解析を行い振動周波数の時間変化を明らかにする。以上の解析をプロトン性、非プロトン性溶媒における測定データを対象に行い、ESDPT過程の詳細な知見を得る。さらに重水素置換した7AIとPQを対象として比較しESDPTのより詳細を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、レーザー装置の不調や耐震工事のために、実験計画が予定通りに進まなかった。レーザーの修理および調整等を購入した会社の技術者の助けを借りて、再立ち上げを行った。購入したレーザー自身に設計上の問題が有り、本格的な修理は、今年度4月に持ち越されることになった。そのために、昨年度の計画を少し後ろ倒しして進めざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
レーザーの修理を出来るだけ終わらせ、本実験に取りかかる。レーザーが完全にその性能を復帰しなくても、実験を進める。
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