研究課題/領域番号 |
12F02756
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
桑原 利彦 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授
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研究分担者 |
COPPIETERS Sam 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 二軸応力試験 / 異方性降伏関数 / 加工硬化 / DIC / ひずみ速度 / 成形限界ひずみ / 成形限界応力 / 線形応力経路 |
研究概要 |
金属薄板(試験片)の表面に白黒の斑点模様をスプレー塗装し,試験片の変形に伴う模様の変化をCCDカメラで撮影・追跡することにより,試験片の変形を連続的に計測することができる非接触ひずみ計測器(DIC)を開発した.画像解析ソフトウェアは,学振特別研究員であるCoppieter博士が開発した.開発した非接触ひずみ計測器の精度検証を行うために,当研究室で十字形試験片による二軸引張試験および液圧バルジ試験を行い、ひずみの測定精度を検証した。供試材として、アルミ合金板および高張力鋼板の二種類を用いた。その結果、本DICひずみ測定システムによる測定値は、ひずみゲージやマイクロメータによる板厚分布と概ね一致することを確認した。 さらに本DICひずみ測定システムによるひずみ測定の絶対誤差を明らかにするため、有限要素法による数値誤差解析を行った。具体的には、有限要素法(Abaqus^<(R)>)を用いて十字形試験片による仮想二軸引張試験を行い、その中で数値的にDIC測定を行い(実際の実験と全く同じ手順でひずみ計測を数値計算上で行う)、有限要素法による厳密な数値解と比較した。その結果、ひずみの測定精度は、試験片表面にスプレー塗装された白黒の斑点模様に影響を受けることがわかった。これにより、ひずみの測定誤差を安定化させるためには、白黒の斑点模様を規格化する必要性があることがわかった(定型の斑点模様を試験片表面に印刷する方法が将来有望であると考える)。 上記研究と平行して、今後材料モデルの高精度化に対して有効な処方箋となるであろう、材料の異方硬化挙動に関する研究を開始した。まず手始めに国内外の文献調査を広く行い、関連論文を収集した。定式化の手法に関する研究は散見されたが、実験データは皆無であり、本研究の独創性が明確になった。さらにAbaqusのUMATの構造について調査し、異方硬化を組み込むための土台を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、平成24年度は非接触ひずみ計測器(DIC)の開発で終了する予定であったが、本装置の開発は予定より早く終了し、ひずみの測定誤差解析や異方硬化に関する文献調査まで研究が進捗したため。
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今後の研究の推進方策 |
新規開発したDICシステムの精度検証を引き続き実施する。その研究成果は来年1月にメルボルンで開催されるNUMISHEET2014で発表する予定である。 さらにHillの二次降伏関数を用いて、金属板材の異方硬化理論の定式を行う。対象材料としては純チタン板を用いる予定である。定式化した異方硬化理論を有限要素解析ソフトウェアAbaqus/Standardに組み込む。Abaqusに組み込まれた異方硬化モデルの検証解析を行う。最後に、異方硬化モデルの有効性を立証するために、純チタン板を用いた液圧バルジ試験を行う。表面ひずみの測定には、上記で開発したDICシステムを用いる。
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