研究課題/領域番号 |
12F02763
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊山 修 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授
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研究分担者 |
LERNER Boris 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 整環 / Giegle-Lenzing空間 / 次数付き環 / 非可換代数幾何学 / 導来圏 / 傾理論 / Serre双対性 / recollement |
研究概要 |
特別研究員は、Chanによって導入された巡回被覆の手法を用いて構成される、射影平面上の特別な整環に対して、整環上の曲線のヒルベルトスキームおよびピカールスキームの詳細な記述を与えた。この研究成果は、論文「Line bundles and curves on a del Pezzo order」(J.Algebraに掲載確定)において公表されている。 さらに特別研究員はGeigle-Lenzing空間を研究した。これはGeigle-Lenzingの導入した重み付き射影直線の一般化として、受け入れ研究者とHerschend、源、Oppermannによって導入されたものであり、あるアーベル群で次数付けられた特別な次数付き完全交叉環から、Serre構成(次数付き加群の圏の、有限次元次数付き加群の成すSerre部分圏による商圏をとる操作)によって与えられるアーベル圏として定義される。特別研究員は、受け入れ研究者との共同研究において、射影空間上の特別なクラスの整環(order)を導入し、その加群圏がGeigle-Lenzing空間と同値となることを示した。これはGeigle-Lenzing空間への新たな研究手法を与えるものであり、様々な議論を簡略化することが期待される。例えばGeigle-Lenzing空間における傾対象の存在も、整環の手法によって容易に示すことができる。この傾対象の自己準同型環として、Ringe1による標準多元環の高次元版が得られるため、この事実はGeigle-Lenzing空間の研究において重要である。これらの研究成果は、現在論文として準備中である。 また特別研究員は、受け入れ研究者およびOppermannとの共同研究において、Geigle-Lenzing空間の一般化を試みており、現時点ではHirzebruch曲面上のある種の整環に対して、傾対象の存在を証明している。 この内容に関しては、今後も引き続き研究を続行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Geigle-Lenzing空間に対して、整環の手法がたいへん有用であることが分かったため、2012年度の研究は非常に有意義であったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きGeigle-Lenzing空間とその一般化を、整環の手法を用いて研究する予定である。
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