本研究では、トランジット(惑星による中心星の食)観測によって、系外の巨大ガス惑星の衛星の検出が可能かどうかの理論モデルを構築し、実際にケプラー宇宙望遠鏡による公開観測データを解析して、検出を試みると同時に、それがどのように惑星・衛星形成理論モデルに制約を与えるのかを調べることを目標としている。 たとえば、現存の理論モデルでは、巨大ガス惑星の衛星の最大質量は中心惑星の1/10000程度とされている。観測的には大きな衛星ほど検出されやすいので、この限界質量以上の衛星が検出されなければ、理論モデルは妥当だということになる。一方、限界質量以上の衛星が検出されれば、理論モデルに問題があるか、または標準的な微衛星集積による衛星形成モデルではなく捕獲などの他の衛星形成モデルを考えなければならないことになる。 衛星形成・進化理論は、これまで、太陽系内の惑星の衛星という、数少ないサンプルについてのデータと比較検討せざるを得なかったが、本研究のように系外惑星にその比較対象をひろげることで、一般的な議論が可能となる。 H25年度は、衛星の新しい検出方法を確立し、すばる望遠鏡に観測プロジェクト申請をした。また、衛星ではなく、存在するかもしれない連惑星の検出についても議論した。
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