研究概要 |
近年,地球温暖化や海洋酸性化によって深海生物群集が影響を被っている可能性が指摘されているが実際にどのような影響が現れるについて、深海の底生生物を対象に環境を精密に制御した飼育実験を実施し,群集構造解析,生活様式観察および代謝速度など、深海生物生態系とその活動に与える影響評価を目的として実験を行なっている. 本年度は,pHを変えて堆積物を培養する実験系を立ち上げた.また予察的に浅海から得られた堆積物を用いて,水温,塩分,DOを一定にし,pH条件を変化させた実験系を走らせた.pHは常時モニタリングされており,CO2をバブリングすることで一定の値を再現した.また週に一回,アルカリ度について一点法をダウンスケールした方法で分析し,環境情報を常に取得できるようにした.2週間のインキュベーションを経て,堆積物を微古生物学的に処理し,堆積物に含まれる有孔虫類の拾い出しを行った. 実験環境は概ね一定であったが,実験期間を通じてpHは低下傾向,アルカリ度は上昇傾向を示した.堆積物に含まれる,有機物が参加されることによってpCO2が上昇し,それにともなって炭酸塩などが溶解したことでpHの変動を干渉するとともに,アルカリ度が上昇したものと考えられる.期間中,香港大学地球科学教室の安原盛明准教授と深海底生生物群集と環境変動に関するワークショップ形式のディスカッションを行った.
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