研究課題
MEMS(Microelectro mechanical system)は、人間の脳を高度化したのがコンピュータだとすると、筋肉や五感(目、鼻、耳、触感)等を高度化するデバイスであり、安全で安心な社会構築に向けて非常に重要な技術である。圧電体を用いたMEMSは小型化に有利なことから、MEMSの本命技術といわれているが、実用化の例は必ずしも多くない。最大の問題は、圧電体を再現性良く作製することが非常に難しいことによっている。本研究では、圧電MEMSの性能を決定している圧電体のドメイン構造の制御および観察を行うことを目的としている。これまで行ってきた膜の特性劣化の機構を透過型電子顕微鏡やラマン分光法を駆使して解析し、その原因を突き止める。これによって、特性の劣化を引き起こす原因を明らかにする。本年度は、溶液法を用いて作製した一軸配向Pb(Zr,Ti)O_3膜の評価を行った。作製したサンプルに電界を印加すると、ある電界から圧電性の大きな上昇が確認された。その後の膜では非分極軸方向から分極軸方向へのドメインのスイッチングが起きていることが明らかになった。また、電界印加下では可逆的なドメインスイッチングが起きていることが明らかになった。さらに、繰り返し電界印加を行うと、電界印加下でのドメインスイッチング量が減少し、これが圧電性の疲労を引き起こしていることを明らかにした。
3: やや遅れている
当初予定していた透過電子顕微鏡(TEM)による観察は、装置のライセンス取得に時間がかかってしまい、十分に進んでいない。
2年度にはTEMに注力し、ドメイン構造の微構造観察を行う予定である。結晶構造については、、TEM観察に加えて、XRDやラマン分光等のデータを併用して、相互の測定法のメリットを生かして、より精密な解析を行っていく。
すべて 2013 その他
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Mater. Res. Soc. Symp. Proc.
巻: 1507
10.1557/opl.2013.161
http://f-lab.iem.titech.ac.jp/f-lab.htm