研究課題/領域番号 |
12F02770
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
真鍋 健一 首都大学東京, 理工学研究科, 教授
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研究分担者 |
XIE Haibo 首都大学東京, 理工学研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | マイクロ圧延 / 有限要素シミュレーション / 表面性状 / 圧延不良 / 極薄ストリップ / マイクロトライボロジー / 異周速圧延 / 寸法精度 |
研究概要 |
近年、金属素材を用いるマイクロフォーミングへのニーズが拡大している。その素材となる金属箔及び極薄ストリップには高い形状/寸法精度及び平坦度が要求されるが、これまで以上に優れた力学特性、機能特性付与とより高い品質保証が期待されている。それに伴いマイクロ圧延への技術要求も高くなってきている。マイクロフォーミング性と材料特性、表界面特性、成形条件との関係に関する解明された成果は、極薄ストリップのマイクロ圧延に反映され、表界面を考慮したマイクロトライボロジー、破壊も含めたマイクロメカニクスに活用が望まれる。一方、極薄ストリップのマイクロ圧延およびマイクロフォーミングの設計では適用できるFEMモデルは十分でなく、力学的、物理的特性値や諸境界条件に関して未解明な点が多い。これらに対する基礎的研究成果は少なく、かつ基礎的なマイクロ圧延に関する研究も極めて少ない。 本研究では外国人特別研究員とマイクロフォーミングで実績のある受入れ研究者らとの共同研究によって、マイクロ圧延実験からFEMモデルに必要な基礎的な情報を得て、圧延不良を防ぎ優れた成形性と高精度で高品質の金属箔材を製造するためのマイクロ圧延における影響因子を解明することを目的とし、以下の事項について検討する。 (1)FEAモデリングとその実験的検証:まず実験結果に適合できるFEMモデル提案を行った。三次元表面性状を考慮したストリップをモデル化してその圧延時の表面性状の変化をマイクロトライボロジーの観点からFEMシミュレーションを実行した。まだ十分な成果は出ていないが着実に進捗している。マイクロ圧延実験を効率的に実施・検討するため、マイクロ異周速圧延機の試作に取り掛かっている。 (2)極薄ストリップのマイクロ圧延実験によるマイクロトライボロジー評価実験:マイクロ圧延実験から表面品質、摩擦係数、製品精度の評価と金属箔の材料評価試験を行い、一部の基礎データ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
10月末から来日して間もないことと環境に慣れる時間も考えると、研究の進捗は概ね順調との評価も可能である。実際、表面性状を考慮した三次元マイクロ圧延のモデリングは予定どおり進めることができている。しかし、マイクロ圧延実験が予定どおり進めるまでには至っていない。当初はマイクロ圧延実験に関して引抜き試験機を改良した簡単なモデル実験で対応しようとしたが、それでは十分な極薄ストリップが製造できず、その対応に予想以上に時間を要したためである。現在では、異周速まで可能なマイクロ圧延機の試作開発と、外部機関の圧延機を用いた極薄圧延実験が行えるようになり、実験に着手してデータも得られるようになっている。
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今後の研究の推進方策 |
1)上記のとおり、マイクロ圧延実験に関しては、異周速圧延が可能なマイクロ圧延機の試作を進めており、これによって本実験が学内で実施できるようになり、計画に従って研究を進めることができると考えている。 2)その試作開発までは外部機関で圧延実験ができるようになり、綿密な実験計画を立てることによって所望の検討成果が得られるようになると考えている。 3)表面性状を考慮した三次元マイクロ圧延シミュレーションは実験検証がまだできていないが、有効性が検証できれば、急速に研究が進むものと考えている。現状での定性的な評価であれば、かなり妥当なみなせる結果が得られている。早目の検証実験を計画している。
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