研究課題/領域番号 |
12F02783
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
幾原 雄一 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授
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研究分担者 |
FANZHI Meng 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 外国人特別研究員
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キーワード | 走査透過型電子顕微鏡 / セラミックス / 界面原子構造 / 構造解析 |
研究概要 |
原子レベルで結晶構造を自由自在に制御することは容易ではないが、結晶中の欠陥や不純物近傍の欠陥構造である局在量子構造を活用することで可能である。そこで本研究では、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて実用構造機能セラミックス材料における「転位運動、格子欠陥形成、相転移や粒界相互作用」を観察するとともに、原子分解能走査透過電子顕微鏡と理論計算(第一原理)を併用して材料設計、「セラミックス粒界構造」を調べ、原子構造電子論を基軸とした「材料強度学」の新体系化を目標とする。 (1)上記マルチフェローイック特性を有するバルク単結晶体および多結晶体(融液成長および焼結により作製)、更には基板上にパルスレーザー堆積法(共同設備)やスパッタ蒸着法(現有設備)により作成した薄膜材料に対して、透過電子顕微鏡(TEM)による微細組織解析に向けて、機械研磨、ディンプル研磨、イオン研磨(すべて現有設備)、もしくは粉砕法(乳鉢による壁開)により電子線に対して透過可能な薄片試料を作製する。 (2)汎用の加速電圧200kVを有するTEM(現有設備)及び400kVTEM(共同利用設備)を用いて格子欠陥、結晶粒界構造、 析出物などの微細構造観察を行う。さらにはTEMに装着されたエネルギー分散型エックス線分光装置(現有設備)を用いて元素分析(構成元素種同定や化学組成)や元素分布(組成のバラツキなど)についてナノレベルで詳細に解析する。 また、エックス線回折法(共同利用設備)を用いて酸化物の結晶構造や第二相形成の有無等についても調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は上記(1)及び(2)で示す研究を中心に遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降に行う第一原理による酸化物材料の原子緩和構造や電子構造(結合・化学状態)など計算やシミュレーションに関する研究に向けて、研究環境整備にも取りかかる。酸化物単相の計算について汎用コンピューターで十分だが、基板上の薄膜については基板界面での構造・応力緩和の考慮が不可欠なため比較的大きな構造モデル(スーパーセル)を設定しなければならない。そのため、スーパーコンピューター(共同利用施設)による大規模計算に向けて、それに対応できる環境(スーパーコンピューター利用許可申請や汎用コンピューター解析能力向上など)を整える。
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