研究課題/領域番号 |
12F02787
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉永 正彦 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授
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研究分担者 |
TORIELLI M. 北海道大学, 大学院・理学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 直線配置 / 二次直線配置 / モジュライ空間 |
研究概要 |
超平面配置や代数曲線のトポロジーに関して、局所的なデータ(組合せ論的な情報)から大域的な幾何学的不変量を導くことは重要な課題であり、様々な分野で研究されている。超平面配置においては、補集合のコホモロジー環の構造が組合せ論的に決定できることが知られており、局所系係数コホモロジー、ミルナーファイバー、基本群などが最近活発に研究されている。また代数曲線のZariski対の研究もこのような問題意識が背後にあるといえる。この種の問題は、ある種のモジュライ空間の構造と関係している。つまりモジュライ空間の連結性から、位相的不変量が一意的に定まることを示すことができる。 24年度は直線-二次曲線配置のモジュライ空間の研究、特にモジュライ空間が既約になるかどうかという観点から研究を行った。直線-二次曲線配置のモジュライ空間が既約となるための十分条件をいくつか得た。またこの結果と、膨大な分類を実行することにより、6次以下のモジュライ空間が既約でない例を全てリストアップした。6次以下の直線-二次曲線配置のZariski対は、岡睦雄氏がトーラス曲線の分類の際に見つけた例に限ることが分かった。最近7次以上の直線-二次曲線配置のZariski対がいくつか見つかっているが(難波、土橋、徳永)6次以下では(岡の例以外)見つかっておらず、モジュライ空間の既約性の観点から、6次以下では完全に確定できたことに意義がある。これまでの結果を改良することで、7次や8次の場合にも直線-二次曲線配置のZariski対を網羅的に調べることは今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の半年はセミナーや研究集会での講演をこなしつつ、国内の研究者との協力関係を築きつつ、研究の基礎や方向性を固めることを当初の予定としていたが、2年度に扱いたいと考えていた問題に対して、既に一定の成果が得られた、一方で申請段階で予定していた寺尾予想への変形理論の観点からのアブローチは技術的な困難を克服できるかどうか探っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目標であった寺尾予想については、変形理論からの考察を継続しつつ、しばらくはZariski対の研究との関連で、直線配置のミルナーファイバーや局所系係数コホモロジーの研究を進めていく。このテーマは代数幾何的・位相幾何的など様々な観点から活発に研究されている。受け入れ研究者の吉永が昨年度に考案したベッチ数の計算アルゴリズムが多くの例に対して有効であることから、このアルゴリズムに基づいたミルナーファイバーや局所系係数コホモロジーの定性的研究が喫緊課題であると考えているからである。
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