研究課題/領域番号 |
12F02797
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
染谷 隆夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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研究分担者 |
BOIS Chloe 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 有機トランジスタ / プリンテッド・エレクトロニクス / 放射線治療 / 生体内線量測定 / カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNFET) |
研究概要 |
研究の目的は、効率的な印刷プロセスにより生体埋め込み式の医療用電子機器の作成である。有機薄膜トランジスタ(OTFTs)を生体適合性のある基材上に印刷することで、体内への埋め込みを可能にすることが本研究のテーマである。 初年度は、生体適合性のある基板にトランジスタを作成すべく有機材料と基板の選別に焦点を当てた。まず初めに、トランジスタを作成する際の印刷に用いるインクの成分とインク輸送技術の選別を行った。具体的には、インクの機能部分となる新しい有機材料の選択である。親和性ポリマーで連続した層を作成し、また、紫外線硬化性のあるインクの配合割合について研究を進めた。 その第一段階として、クリーンルームにてオーブン、誘電体コーティング機、半導体蒸着機、スーパーインク ジェットプリンターなどを使用し、有機トランジスタを作成する技術を習得した。それにより、金ゲート、ソース、ドレイン、パリレン誘電体およびDNTT有機半導体の層からなる効率的な有機トランジスタや有機トランジスタのアクティブマトリックスの作成が可能となった。また試験的に、直接.銀ナノ粒子を誘電体コーティング機で焼成する方法も行った。 次に、バイオ医療における有機薄膜トランジスタ(OTFT)の用途の選別を行った。近年、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を使った放射線癌治療中の体内線量測定機が開発された(高価でかつ定期的な調整が必要とされるため、実用化されていない)。また、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNFET)も生体内線量測定に効果的だと報告されている。これらの有機トランジスタを、印刷技術を駆使して作成することで、安価に、またより高い生体適合性を持たせることが可能となるとの判断から、放射線治療中の体内線量測定をプリンテッド表皮センサで行うことを今後の研究テーマとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画案通り、生体調和基板にトランジスタを作成すべく有機材料を選別を行った。また、水溶性ポリマー塗布と蒸着との組み合わせプロセスを実施した。おおむね計画通りに研究を進めることができたと認識している。
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今後の研究の推進方策 |
今後以下の課題を進めていく所存である。 -放射線量測定用のCNFETを作成するX線不活性有機材料の選択 -適切なインクの調合 -蒸着パラメータの最適化 -CNFET作成プロセスの最適化 -パラメータおよびプロセススの影響の特定 -放射線治療医による生体適合性のあるX線センサーのテスト
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