研究課題/領域番号 |
12F02816
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴橋 博資 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授
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研究分担者 |
GODART Melanie 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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キーワード | 大質量星 / B型輝線星 / 星震学 / 安定性 |
研究概要 |
星震学は、星の振動・脈動を検出・解析して、星の内部構造と進化の詳しい情報を得ようというものである。ケプラー衛星等によるスペースからの観測が出来る様になり、長足の進展の途上である。,本研究では、研究分担者がこれまで進めて来た研究を発展させ、ストレンジモードの物理的要因を更に究めるために、金属量の少ないもしくは皆無である大質量星の振動特性とその安定性を調べることとした。 その準備段階として、平衡モデルの構築を行なった。 これとは別に、B型輝線星の活動を説明することを目的とする研究を始めた。B型輝線星は、スペクトルに水素の輝線が見られ、その様相が数年から数十年の時間尺度で変化することを特徴とする。 輝線は星周円盤の存在を示唆しており、円盤自身が数年から数十年の時間尺度で生成・消滅をしていると理解されている。星周円盤の生成は、星の中からガスが放出されることによると考えられており、角運動量をどうやって星内部から持ち運ぶかが問題となる。星自身は、臨界自転速度にはなっておらず、星の表面回転を臨界速度にさせることなく外部に角運動量を運びさる機構が必要となる。本研究では、鉄族元素の電離に伴って非軸対称gモード脈動が励起され、この脈動と星の自転の相互作用により、角運動量が星から外へと輸送される機構を検討した。自転が速くなると、脈動は赤道域に集中する性質を持つ。その結果として、重力波が定在波になるための星表面での臨界振動数(それ以下では定在波にならずに進行波になる)が高くなり、それまで定在波であった振動モードが進行波となってしまうことが予想される。そうなると、一気に角運動量放出と質量放出とが進み、星周円盤を形成してBe星になるという作業仮説を立てて、子細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外国人特別研究員は、来日後の日がまだ浅いことから、日本での生活の基盤作りや、研究環境の整備に時間が必要であるため、研究はスタートしたばかりである。
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今後の研究の推進方策 |
B型輝線星の活動についての、上述の作業仮説を実際的なモデルを作成して実際に働くことを示すよう努める。 ストレンジモードの要因を明確にするために、金属量の異なる星のモデルを順次作成して、組織的にそれらの脈動安定性を調べる。
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