研究課題/領域番号 |
12J00026
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浅野 浩平 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | HPFRCC / 架橋則 / 繊維配向性 / 配向強度 |
研究概要 |
高性能繊維補強セメント複合材料(HPFRCC)について、HPFRCCの力学性状、特に引張性状を支配する引張応力―ひび割れ幅関係、すなわち架橋則について着目し、研究をしてきた。架橋則は、ひび割れに架橋する単繊維の引抜性状の積分で表現されるが、様々な因子によって複雑に構成されるため、単純に表現することは難しいとされていた。 マトリックス中の短繊維は9次元ランダム配向と仮定する研究が多い。しかしながら、申請者が行った打設方向をパラメータどしたHPFRCCの一軸引張試除では、縦打ちの試験体が横打ちの試験体の半分以下の耐力であり、HPFRCCの繊維配向性は打設方向に強く影響を受けることを再認識した。 前年度までに行われたX線CTスキャンによるHPFRCCの可視化実験によって得られたマトリックス中の繊維配向分布を、独自の評価指数である「配向強度」を導入することによって定量的に繊維配向性を評価することが可能となった。この配向強度を架橋則に導入し構築したことによってHPFRCCの打設時の流動方向によって生じる性能の差異を評価することが可能となり、上述したHPFRCCの一軸引張試験の結果を精度良く評価している。現段階では配向強度については経験的なパラメータであるが、珪酸ナトリウム溶液(水ガラス)をHPFRCCのマトリックスに模擬した繊維配向性の可視化実験を行い、境界条件に応じた繊維配向角分布を得ることが可能となったため、配向強度のモデル化も可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度までに得られているHPFRCCの繊維配向角分布を、配向強度といった独自の手法を提案し評価を行った。配向強度によって、繊維の有効強度、スナビング効果、繊維配向性を包含しつつ架橋則を構築することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
配向強度という評価指標を導入することで、繊維配向性を考慮した架橋則を容易に算出することが可能である。 しかしながら、配向強度は現状では経験的にしかわかっていないため、配向強度がどういったシチュエーション(打設方向、鉄筋の有無、型枠形状など)で、どのような値を取り得るのか、モデル化を試みる。
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