研究概要 |
1.本研究は、地域全体を対象とした介入(コミュニティ・ワイド・キャンペーン)が、中高年者の身体活動量増加につながるか明らかにすることを目的とした。 2.本研究の特色は、地域介入により、「住民のうち、何%の人々が活動的になるか」というポピュレーション・レベル(地域・集団レベル)での検証を行う点であり、クラスター・ランダム化比較試験というデザインで行われた。 3.今年度は、地域介入の2年後追跡評価として、平成24年10月に無作為抽出の質問紙調査を行った。介入前評価の回答者4,559人中、死亡・転出した者を除く4,411人へ質問紙を郵送した。その結果、最終的に3,437人からの返信を得て、77.9%と高い回収率を確保できた。 4.質問紙調査の実施と並行して、介入後評価(平成22年)の結果について分析を進めた。事前に設定した行動科学のロジック・モデルに基づく分析の結果、1年間の介入では、地域住民の気づき(アウェアネス)と知識までは高めることが出来たが、信念・意図、そして実際の身体活動量(行動)までは変えることが出来なかったことが明らかになった。 5.平成24年11月には、国際学会(4th International Congress on Physical Activity and Public Health、シドニー)において、これまでの成果をまとめて発表を行ったところ、Student Awardを受賞した。身体活動と健康に関する研究で世界をリードする学会において、本研究の成果が高く評価されたと言える。 6.また、研究実施地の自治体と協議を重ねた結果、将来的に4年後追跡評価の実施と合わせて、行政情報を活用した要介護・死亡調査を実施することが決定し、その情報取得に関する手続きが進められた。
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