研究課題/領域番号 |
12J00158
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川崎 智子 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 書画会 / 席画 / 仮名垣魯文 / 明治 / 幕末 / 河鍋暁斎 |
研究概要 |
平成24年度の計画としては大きく分けて以下の2点であった。1、作品・新聞・雑誌・引札・日記・回顧録などの史料収集、2、成果発表としての論文投稿と学会発表、この2点である まず1、の史料収集に関しては、2012年10月から2013年1月末までの間、埼玉県に滞在し史料収集を行った。 「書画会」にしばしば足を運んだ絵師・河鍋暁斎の美術館(公益財団法人河鍋暁斎記念美術館:埼玉県)を中心として、国会図書館・東京都立中央図書館・寺社・書画会に関係する絵師の展覧会などに訪れ、作品・新聞・雑誌・引札・日記・回顧録などの史料渉猟にあたった。 美術館には、河鍋暁斎をはじめとする幕末・明治の美術・人物・文化・生活風俗などの各種文献資料が揃えられており、効率良く資料にあたることができた。また、所蔵品目録にも掲載されていない作品なども見せていただいたり、館長や学芸員の方にお話を伺ったりするなど貴重な体験ができ、知見を新たにできた。 美術館で行った具体的な作業は以下である。(1)暁斎の日記から書画会関連の箇所の抽出、(2)一つの紙に複数の書画家が揮毫した「寄書」の分析、(3)一枚に複数の書画家の作品が散りばめられた錦絵「貼交絵」の分析、(4)暁斎周辺の人物で、かつ書画会にも訪れている人物に関する海外文献資料の調査、(5)暁斎とも親交がある図案家の梅素玄魚が、書画会を主催した際に作成した「絵美羅集」(絵ビラの集成)の調査。 国会図書館や東京都立図書館では、当時の人名が記載されている番付や引札、書画会のキーパーソン扇面亭伝四郎・仮名垣魯文らの関係史料を収集した。寺社では書画会記念碑の調査を行った。 研究成果の一部は、河鍋暁斎研究会での口頭発表、及び研究誌『暁斎』掲載において発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各地へのフィールドワークを行い、有益な資料を収集するとともに、それら資料によって当該時期の雰囲気をより身近に感じることができた。それにより、一層明確な研究ビジョンを描くことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
従来の構想では、大正・昭和前期における書画会まで研究対象とし、時系列に論ずる時代論、書画会に関する人々を紹介する人物論、席上揮毫に注目した行為論という3本柱で論ずる予定であった。その際の視点としても当該時期の史料に則しながらもイメージとしては距離を置いて論じる予定であった。 書画会を巡る人々のネットワークの在り方や書画会に巻き込まれることの魅力といったものを、書画会という文化現象を支えた当時の社会、慣習、人々の意識、流通・商売の様相などを再現するかたちで描き出す方が良いことが平成24年度の研究成果から明らかとなった。対象年代も、明治0~10年代に絞り、江戸期の文化・慣習・人々の認識といったものの流れを考察しながら論ずることにした。
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