研究課題/領域番号 |
12J00227
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀川 康史 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 室町幕府 / 守護制度 / 軍事制度 / 南北朝期 |
研究概要 |
本研究は、鎌倉末期から室町初期までの約百年間にわたる社会変動(14世紀内乱)の具体相を、多面的・総合的に考察・把握することを試みるものである。研究実施状況は以下の通りである。 (1)昨年度は守護権力の形成過程について研究を進め、室町幕府体制の展開過程を跡づけたが、近年、室町幕府の地域支配は守護権力のみならず様々な地域権力によって担われていたことが指摘されるようになった。こうした研究動向をうけて、守護権力にとどまらない多様な地域権力の存在を組み込んだ、新たな室町幕府支配体制形成史の叙述の必要性を認識した。そこで今年度は、南北朝期室町幕府の地域支配のなかで有力国人層が果たした役割とその変遷について研究を進めた。その成果は、2014年2月に歴史学研究会日本中世史部会において「南北朝期室町幕府の地域支配・身分秩序と有力国人層」と題する口頭報告を行い、その後「南北朝期室町幕府の地域支配と有力国人層」と改題のうえ、論文として投稿中である。 (2)同じく近年、室町幕府守護制度そのものの再検討も進められている。筆者も(1)に記した研究を進めるなかで、従来の室町幕府守護制度研究には、その手法を含めて根本的に見直していく必要があることを認識するに至った。現在は史料・事例収集の段階にとどまっているが、来年度中にはその成果の一部を口頭報告あるいは論文として公表できるよう研究を進めている。 (3)関連する研究報告として、2013年11月に、メトロポリタン史学会の依頼を受け、須田牧子著『中世日朝関係と大内氏』(東京大学出版会、2011年)の書評を行った。守護権力研究の立場から同書に論評を加えたもので、その後、同会発行の『メトロポリタン史学』9号(2013年12月)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究では、室町幕府の権力構造・地域支配のあり方を新たな視角から叙述することができたと考えている。また、昨年度投稿した論文も査読付雑誌に順次受理・公表されており、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度の研究は以下の三点を中心に進めていく予定である。①引き続き、室町幕府の権力構造や地域支配のあり方について研究を進め、②守護をはじめとする地域権力と国人・在地社会の関係性について検討していく。また、③今年度の研究を進めるなかで新たに課題として浮上した、室町幕府守護制度研究の再検討を視野に入れた研究を進めていく。
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