研究課題
本年度の研究では、前年度に報告した酒(エタノール)や食塩が酸化ストレスを誘導する因子であることを発展させ、エタノールの代謝産物あるいはタバコの煙などに含有することが知られているアセトアルデヒドも活性酸素を誘導する因子となり得るか検討を行った。その結果、エタノール・食塩・アセトアルデヒドが全て活性酸素を誘導する因子であることを明らかとした。さらに、これら活性酸素誘導因子はミトコンドリア由来の活性酸素産生を促進することを示唆した。多くの報告から、80%以上の疾患に活性酸素が関与すると考えられており、活性酸素曝露による酸化ストレスは、疾患の発症や憎悪を促進すると示唆されている。このことから、日常的に摂取するものがどのような機序で活性酸素を誘導するか確認し、それらを抑制する術を開発することは様々の疾患の予防に繋がるものと考えられる。これまでの既往研究でミトコンドリア由来の活性酸素が、がん悪性化(がん浸潤)を促進することを報告してきた。前年度および本年度の研究に用いたエタノール・食塩・アセトアルデヒドは肝がんや胃がんの発癌物質と考えられているが、これらの摂取ががんの発症のみならず、がんの悪性化にも関与することが本研究から示唆された。また、疾患予防の観点からは、エタノール・食塩・アセトアルデヒドは全て濃度依存的かつ曝露時間依存的に細胞ストレスを引き起こすことから、消化管に高濃度で曝露しないためのスペーサー、あるいは長時間の曝露を避けるための排出促進を担う工夫をすることで、疾患予防のための活性酸素除去剤の開発が可能になると示唆した。
(抄録なし)
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Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition
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