研究課題/領域番号 |
12J00291
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
新倉 弥幸 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 系統地理学 / 遺伝的多様性 / 氷河期 / ハマダンゴムシ / イソカニムシ / イソフサヤスデ / 分岐年代推定 |
研究概要 |
具体的内容、意義、重要性 地球上には様々な環境があるが、中でも沿岸部は1)大半の動物門の動物が生息し、また2)陸上と海洋との境となるため様々な微環境が存在するため、動物の多様性と環境との関わりを調べるには理想的なフィールドである。更に、日本列島の周辺は氷河期に激しい環境の変化があったことがわかっているため、日本周辺の沿岸動物の研究を通じて、過去から現在までの沿岸環境が動物の多様性に与える影響について考察することが出来る。 日本周辺での沿岸動物の多様性研究については、現在は遺伝的多様性についての理解が進められている。 申請者は先行研究において、砂浜海岸に生息するハマダンゴムシという種について日本周辺での遺伝的多様性を明らかにしており、これは、岩礁海岸に生息する動物の遺伝的多様性分布(たとえばフナムシ(伊谷2000))とは明瞭に異なっていた。そこで、沿岸種の遺伝的多様性の共通パターンと、砂浜/岩礁海岸などの生息(微)環境との違いを明らかにすることを目的として、本研究を進めている。 今年度は、主に陸生の5種について採集をすすめ、うち3種(砂浜性1種、岩礁性2種)について日本全国レベルの遺伝的集団構造の解析を終えた。それらで共通して、日本沿岸には複数の遺伝的集団が存在すること、そのうち日本海の沿岸には単一で固有な遺伝的集団が存在することが共通して明らかになった。また、それらの遺伝的集団が形成され始めた時期は、氷河期のなかの氷期であると推定された。氷期には海水面が大きく下がり、海岸線が大きく変化し、それにより沿岸環境が劇的に変化したと考えられている。 これらより、氷期の環境変化が日本周辺に生息する沿岸節足動物の遺伝的な多様化を促進したと示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象種の採集調査がほとんど終了していること、対象種の半数の解析が終了していること、残る種の半数についても解析プロトコルを作成済みであること、成果の一部を既に論文としてまとめ投稿していることから、順調に進呈していると評価しました。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始当初は、沿岸種間の生息環境ごとの遺伝的多様性分布パターンの違いに焦点をあてる方向で進めておりましたが、まずは沿岸陸生種、海産種それぞれの遺伝的多様性分布パターンの共通性、および、それを生み出した要因を解き明かすことに注力し、それにより相違点がよりクリアになると考えたため、共通性に注目して研究を進めて参ります。材料・解析方法などは大きな変更がありません。
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