研究概要 |
1件目のMアレイ光符号分割多重(OCDM)システムに関する研究では,アレイ数を増大することでシステムの秘匿強度が向上可能となる.したがって,アレイ数増大のために光符号資源の拡張が重要な課題となる.しかし,これまでの実験では,多ポート光符号器から生成される多数の光符号の中から相関特性が良好な光符号のみを選択して利用して用いていたため,一定帯域内の光符号利用効率が低いといった問題が残されていた. 今回,各符号のスペクトル成分に対して自身の符号スペクトルと同様のフィルタを数段配置することで,符号間の直交性を向上させることに成功し,符号間のクロストークが低減できていることを確認した.その結果,多ポート光符号/復号器によって生成される全光符号を利用可能にすることで,MアレイOCDMシステムにおけるアレイ数増大の可能性を示すと共に,従来よりも高秘匿なポイント・トゥ・ポイント伝送が可能となることを明らかにした. 2件目の光アナログ1ディジタル(AD)変換に関する研究では,光AD変換の1機能である光量子化を低消費電力な形で実現することを目的として取り組んだ.現在採用しているスペクトルスライス方式は光AD変換の一機能である光量子化を簡易な構成で実装できることが大きな利点として挙げられる.しかし,従来手法を用いた場合,アレイ導波路グレーディング(AWG)のスペクトル間隔が大きく離散的であるため,非線形光学効果で光源スペクトルを拡げるのに用いるパワーが大きいため,エネルギー利用効率の点で問題視されていた. そこで,エネルギーロス軽減による低消費電力化を目的として,直交周波数分割多重(OFDM)用AWGによる直交スペクトルスライス方式を用いた10GSampling/s,3bit-光量子化に関する数値シミュレーション及び原理確認実験に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度分の内容である『光符号多重分離技術』のみ遂行する予定として考えていたが,8月頃には十分に研究成果が得られていたために,9月以降には平成25年度分の内容である『光AD変換における光量子化技術』に着手できていることから当初の研究計画以上に進展しているといえる.また,いずれの研究成果も光通信における一流の国際会議であるOptical Fiber Communication Conference(OFC2013)に採択されており,多数の研究者と多彩なディスカッションを行ってきたことから,国内の研究者のみならず海外の研究者からも高い評価が得られたといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度時点で平成25年度に予定していた光AD変換の研究に着手している点で当初の予定より早い進行状況に至っている.したがって,平成25年度は光AD変換の一機能である光量子化のみならず,光符号化にまで技術を展開することで,光AD変換の機能を更に拡張できるように努めていきたいと考えている.その際に,光量子化技術と同様に低消費電力な構成で光符号化を実現することで,光AD変換器全体で必要となる消費電力が抑えられるように工夫していきたいと考えている.
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