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2012 年度 実績報告書

ホヤ初期胚の割球運命決定機構の包括的理解:体系的モデル構築と実験による検証

研究課題

研究課題/領域番号 12J00360
研究機関京都大学

研究代表者

太田 尚志  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードホヤ / シグナル分子 / システム解析
研究概要

カタユウレイボヤの32細胞期の転写調節機構の全体をシステム的に理解するために研究を行った。32細胞期の植物極側に発現している全27種の転写調節遺伝子のうち7種類の遺伝子の調節機構の解析を終了した。また、32細胞期の動物極側における転写調節機構をシステム的に理解したとともに、コンピュータプログラムを用いたモデル構築が完了した。
32細胞期の動物極側の転写調節機構では、二重の制御機構が働いており、適切な割球のみを神経に誘導し、残りの割球を神経に誘導させない機構が明らかになった。神経マーカー遺伝子であるOtxとNoda1の発現を誘導するFGFシグナルと抑制するEhrinA-dシグナルが互いに逆向きの勾配を作ることで、ERKシグナルの鋭い勾配が形成される。
これに加えて、シス調節レベルで、BMPシグナルがFGFシグナルの応答能を抑制することで、微量なFGFシグナルでは神経誘導機構が活性化できない理由が説明できた。つまり、適切な閾値を設定するために、BMPシグナルによる抑制エレメントとFGFシグナルによる活性化エレメントが適切な数だけ存在することが必要であることが明らかになった。
さらに、コンピュータプログラムを利用して、理論上存在可能な全調節経路から実験結果を説明できる調節モデルを構築するための研究を進めた。コンピュータプログラムを作成し、32細胞期の動物極側において理論上存在可能な4294967296モデルの調節経路から、理論上存在できる調節経路を4モデルにまで絞り込んだ。コンピュータによって求められたモデルが示す調節経路は、実験的に証明した調節機構と同様の経路を示していた。また、得られたモデルから、転写調節のための論理式の構築を行った。これにより、発現が活性状態である条件と、発現が不活性状態である条件が算出できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

32細胞期の動物極側において、体系的なモデルの構築はほぼ完了した。このモデルの妥当性の検証が終了したことにより、目的の半分を達成したことになる。植物極側の遺伝子についての解析も半分近く終了している。

今後の研究の推進方策

植物極側に発現している残りの遺伝子について、引き続き解析を行う。

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公開日: 2014-07-16  

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