研究課題
本年度は,昨年度までに開発した人工電流源電磁探査法(CSEM法)の新しい3次元逆解析手法を,沖縄伊平屋北海域の海底熱水鉱床周辺で取得したデータに対して適用した。さらにここで得られた比抵抗構造を既存の観測データと比較し,その解釈を行った。昨年度は電場観測点2点,人工電流送信点4点で取得されたデータから海底面下の比抵抗構造を逆解析手法により推定したが,本年度はそのデータ数を増大させ,空間的により広い範囲の地下比抵抗構造の推定を行った。S/N比の向上を図るために,解析するデータに対して独立成分分析(ICA)に基づくデータ処理手法を適用した。その結果,海底面下は全体的に1~2(S/m)程度の電気伝導度を示しているものの,南部には6~7(S/m)程度の非常に電気伝導度の高い異常体が存在することが確認された。一方で,統合国際深海掘削計画(IODP)による観測点の南方でのコアサンプル調査から,コアサンプルの平均的な電気伝導度はおよそ0.5~1.5(S/m)程度であり,電気伝導度の高いコアサンプルでは4~5(S/m)程度であるという報告がある。これは本逆解析結果から得られた電気伝導度と同程度の値となっている。既存の研究結果では,海底面における熱水噴出や熱水噴出に起因する生物,コアサンプルによる海底面下の調査が行われてきた。しかしながら,これらは海底面における2次元的構造や,海底面下の1次元的構造となっている。本研究では,既存の結果では得られなかった海底面下の3次元的比抵抗構造を明らかにすることができた。これは,既存の研究結果では得られなかった成果であると考えている。また,ここで得られた3次元比抵抗構造を元に調査を行うことにより,新たな海底熱水鉱床や熱水噴出を発見できる可能性が見出された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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76th EAGE Conference & Exhibition
巻: 0 ページ: 4010-4014
10.3997/2214-4609.20141101
SEG Technical Program Expanded Abstracts 2014
巻: 0 ページ: 786-791
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