前年度に引き続き、核スペックルにLats2が局在する意義についての研究を行った。これまでに、Lats2が紫外線照射によりSer835をリン酸化されることで活性化すること、リン酸化されたLats2が細胞質・核小体から核スペックルに局在を移動すること、ここでPHF6をリン酸化することを明らかにした。 本年度は、PHF6に関して、また、p21に関して重要な知見が得られた。 PHF6は本来核小体に局在するが、Lats2のリン酸化を受けて核小体から排出され、核スペックルに局在することがわかった。Lats2をノックアウトした細胞では、PHF6のリン酸化・移動はともに見られなかったことから、これはLats2依存的な現象であると考えられる。 また、p21についてであるが、p21も本来は核小体に局在すると考えられてきたが、これもLats2によってリン酸化されると核スペックルに局在することがわかった。この現象も、Lats2をノックアウトした細胞では消失し、Lats2を強制発現させた細胞で現象が回復することから、やはりLats2依存であると考えられる。 さらに興味深いことに、核スペックルへと移動したp21は、その後の紫外線照射一連の分解を免れることがわかった。細胞質に局在するp21は紫外線照射により分解されるが、核スペックルへと”逃れた”p21は、分解を回避し、歳暮ぷ周期停止へ細胞を導く引き鉄になると考えている。
|