研究概要 |
無電解めっきは、危険な溶液を使用ずる工程を含み、また工程数が多く、溶液の濃度調整等が煩雑であるといった問題を抱えている。本研究では、これらの課題を解決するため、無電解めっきの代替技術として、放射線還元法^<*1>を利用した無電解めっき技術の開発を目的としている。 初年度は、足場となる担体を粒子から基板に変更し、基板上でも金属イオンが還元し析出するかどうかを調査した。金属イオン種として、4種類の金属イオン(Au,Pt,Ag,Cu)を使用し、Auイオン・Agイオン・Ptイオンは、プラスチック基板上であっても金属イオンが還元析出し、基板表面上に金属めっき膜が得られた。一方、Cuイオンのみは、プラスチック基板上で還元析出せず、Cuのめっき膜が得られなかった。おそらく、Cuイオンの酸化還元電位が他のイオンに比べて低く、析出しにくいことが考えられる。 金属イオンの還元挙動を確認する手段を確立するため、最も還元しやすいAuイオン水溶液に白色X線を照射しながら、In situ XAFS^<*2>測定を行った。XANES^<*3>スペクトルを解析すると、白色X線の照射時間が長くなるにつれて、AuイオンがAumeta1に変わることが明らかになった。In situ XAFS測定により、還元挙動を追跡・確認できたので、今後は、イオン種をCuに変え、Cuが還元するためには、どのような条件(線量と濃度の関係、照射時間、溶液のpH)等の情報を取得し、電子線でもCuが還元する条件を探索する予定である。 ^<*1>放射線還元法:金属イオン水溶液に放射線を照射し、水の放射線分解で生じた還元種により金属イオンを還元する触媒レスの還元方法 ^<*2>XAFS:X-ray Absorption Fine Structure=X線吸収微細構造 (物質にX線を照射し、その吸収スペクトルを解析する方法。XANES領域とEXAFS領域に大別される。) ^<*3>XANES:X-ray Absorption Near Edge Structure=X線吸収端近傍構造
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