研究課題/領域番号 |
12J00514
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 和土 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 核酸化学 / 人工核酸 / アンチセンス |
研究概要 |
平成25年度は、採用初年度において新たに見出された課題の解決に向けた研究を中心として行った。即ち、核酸の糖部に舟型ピラノース環を有する人工核酸BsNAを合成したが、その相補鎖結合親和性が予想に反し、非常に低いということが判明し、その原因として天然のRNAあるいは他の人工核酸と比較してBsBAの塩基の回転角が大きく異なっていることが考えられた。そこで、「核酸塩基の回転角」に着目して研究を進め、この新しい設計概念を導入した次世代人手核酸の創製及びそれがRNA結合親和性へ与える効果の検証を行った。塩基部の回転角を調整したBsNA誘導体を設計し、D-グルコースから20工程で目的のヌクレオシドの合成を達成した。得られたヌクレオシドをホスホロアミダイト体へと誘導し、DNA自動合成機を用いてオリゴヌクレオチドへと導入し、その相補鎖結合親和性を評価した所、塩基部の回転角を調整したBsNA誘導体は結合親和性が改善し、天然の核酸よりも高いRNA結合力を有していることを明らかとした。ヌクレオシドX線結晶構造解析を行い、その構造を詳細に精査したところ、核酸塩基の回転角が調整されていることが確認でき、核酸塩基の回転角が二重鎖結合親和性に影響を及ぼす重要な因子であるということが明らかとなった。一方で、今回合成した人工核酸はオリゴ配列中に連続して導入した場合には、相補鎖結合親和性が低下するという性質があり、現在、この欠点を克服すべく新たな人工核酸を設計し、より良いアンチセンス医薬シーズの創成を目指している。 また、以上の内容に関して計2つの学会(第39回反応と合成の進歩シンポジウム、The 40th International Symposium on Nucleic Acids Chemistry)にて発表を行い、多くの研究者達とディスカッションを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の目的であった「塩基部の回転角が核酸の相補鎖結合親和性へ与える効果の検証」を行い、予定していた通りBsNAの相補鎖結合親和性を改善させた類縁体の開発に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今回合成したBsNA誘導体は相補鎖結合親和性を改善することには成功したが、オリゴ配列中に連続して導入した場合には、相補鎖結合親和性が低下するという性質があることが判明した。そこで今後はこの欠点を克服すべく新たな人工核酸を設計・合成し、糖部に舟型ピラノース環を有する人工核酸のアンチセンス核酸としての最適構造を探索する。
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