本研究課題では、ソフトマターの自発運動と外部からの駆動について、理論的な視点から研究を行った。本年度は、大きく分けて以下の3つの課題に取り組んだ。 まず、ドイツ・デュッセルドルフ大学のH. Loewen教授のグループとの共同で、アクティブソフトマターの流れ場中でのダイナミクスについての研究を行った。今回は昨年度までに導出した一般の流れに対するモデルを用い、とくに渦巻き流中でのダイナミクスについての研究を遂行し、特に流れによるアクティブマターの散乱について理論的に考察を行った。本研究で得られた成果はすでに学術論文に掲載した。 また、アクティブソフトマターの往復運動に関して理論的に研究を行なった。自己推進粒子は容器や壁、ポテンシャルなどの周囲の影響のないときでも、自発的に往復運動を示すことが実験で観測されている。我々は粒子の変形の自由度に着目することで、動いていた粒子が止まり、元来た方向に戻っていくという往復運動を自発的に示すことを理論的に予言し、数値的に確認した。得られた研究成果は学術雑誌での公表に向け、現在論文を執筆中である。 最後に、昨年度からH. Loewen教授のグループとの共同研究として始めた磁性ゲルの理論研究では、平衡状態への緩和の固有モードに対する、磁化の配向方向の記憶、個性粒子の分布、外部からの磁場の3つの影響について理論的に考察した。本研究に関してこれまでに得られた研究成果をすでに学術雑誌に論文として公表した。
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